東京都連2024年度賃金・仕事と生活をめぐる討議資料 新型コロナウイルス感染が第5類に移行しましたが、まだまだ現場のコロナ対策、安全衛生対策への不安を訴える仲間がいます。また、ロシアによるウクライナ侵略や、政府、日限の金融緩和による円安の影響で資材価格が高騰。請負代金や工期の見直しを求めても、元請や上位企業、施主が要望に応じてくれない仲間がいます。それぞれの実情を出し合いながら、要求実現を目指し、討議していきましょう。

1 この一年、さまざまな声が寄せられました

「材料屋から材料や工具を買うのにあたって仕入れ値が上がりました。僕らの仕入れ値は上がっているのにメーカーが定価を上げないため、値段差をすべてこうむることになっています。単価を上がらないので大変な状況。」(大手ゼネコン)

「物価が上がっても収入は全く上がらず、ただでさえ苦しいのにインボイスになったら不安しかない。」(大手住宅企業)

「ガソリンや電動工具が値上がりしているが賃金は上がらない。」(地場ゼネコン)

「釘や機械の値段が上がっているのに手間が上がらない。インボイスで消費税なども払っていくのに対し、単価が上がらないのはおかしい。」(中小住宅企業)

「物価が上がっているのに単価がなかなか上がらないことが悩み。その前に現場が先行してしまっているのが現状。」(不動産建売会社)

「現場の作業内容によって手間の単価が細かく決められているので、非常にやりにくい。積算する方は現場の作業を見てほしい。我々現場の職人は死ぬ思いです。」(大手住宅企業)

「元請の都合で突然仕事がなくなることは、日常茶飯事で補償が無いので、月で仕事量に大差があるのが困る。」(大手ゼネコン)


2 賃金はどうなっている?

 全建総連東京都連の2023年賃金調査では、平均年収521万230円、前回に引き続き500万円を超えました。平均日額をみると、前回調査と比較して常用・手間請・一人親方すべてで増加しました。一年前に比べて賃金が「上がった」は8.5%(前回6.0%)にすぎず、多くが「変わらない」(75.1%)、さらに11.5%の仲間は「下がった」と回答しており、厳しい結果となりました。
 公共工事設計労務単価は10年連続で上昇し、依然として7,368円~14,475円の開きがあります。私たちが求める水準には届いていません。

私たちが目指す賃金=標準賃金

 全建総連東京都連では、暮らせる、後継者が育つために私たちが「これだけは欲しい賃金額」として、将来的に目指していく賃金を「標準賃金」としています。
 具体的には、諸経費・法定福利費等別枠で日額2万9,000円(月21日就労換算)、日額5,000円以上、年収720万円です。(1日8時間・週40時間・週休2日)。
 「都民のくらしむき」報告(東京都生計費分析調査)では、2023年4月の勤労者世帯(3.24人)の平均月収入は約62万8,000円、この水準を目安に設定しました。ただし、仲間の実態は、この標準賃金には遠く届いていません。組合アンケートには「1か月10万円は上乗せしてほしい」との切実な要望が寄せられており、そこで当面、20日程度の勤務で一日当たり5,000円以上の引き上げを求めていきます。

標準賃金の考え方

  1. 一人前の技量があり、30歳程度の労働者の賃金
  2. ほかの産業労働者と比較して「世間並み」水準の確保を目指す
  3. 生活費の確保を原則とする(健康で文化的な生活、家族を養い、子どもを育てられる賃金水準)
  4. 技能習得や熟練の必要性、屋外・危険作業などの特殊性も考慮する

「黙っていては変わらない」「声を上げれば変えることができる」

要求の実現に向けて話し合い建設産業を変えていきましょう。

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