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○ 医療保険制度改革法案の問題点をさぐる

 第189回通常国会で審議されている「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律案」。この法案が成立すると、私たちが受診できる医療はどうなるのか。また土建国保に対する影響はどうか。法案の問題点をさぐります。

食事療養費を引き上げ
「医療保険一元化」の加速も

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建設労働者の「命の綱」建設国保を守りぬこう

法案の柱は4つあります。(1)国民健康保険の安定化(2)後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入(3)負担の公平等(4)その他となっています。このうち重大な内容となっている(1)、(3)、(4)についてみていきます。
 (1)の国民健康保険の安定化では「国保への財政支援の拡充で、財政基盤を強化。平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、安定的な財政運営や効率的な事業の確保等の国保運営に中心的な役割をにない、制度を安定化」させていくとしています。財政支援は今後国保に対して毎年3400億円の支援をしていくことを柱としています。また現行では区市町村は国保財政の赤字を補てんするため法定外繰り入れを行なっていますが、法定外繰り入れにかわるものとして、財政安定化基金を創設してこれにあてることを検討しています。
 あらたに公営国保の財政運営主体の都道府県が区市町村から「分賦金」を徴収するようになります。区市町村は「分賦金」から割り出された保険料を被保険者から徴収します。保険料は区市町村がきめますが、都道府県が示す標準保険料率が提示されます。医療費状況、保険料滞納状況で保険料を設定するとしており、東京都では医療抑制や保険料の引き上げ、滞納者への徴収強化が進む恐れがあります。
 また都道府県が財政運営の責任主体となることで、国保組合も公営国保に統合される医療保険一元化が加速されることも懸念されます。建設国保は建設業で働く私たちの実態に即した給付制度を充実させてきましたが、これができなくなります。
 (3)の負担の公平化等では「(1)入院時の食事代について、在宅療養との公平等の観点から、調理費が含まれるように段階的に引き上げ、(2)特定機能病院等は、医療機関の機能分担のため、必要に応じて患者の病状に応じた適切な医療機関を紹介する等の措置を講ずることとする(紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入)(3)健康保険の保険料の算定となる標準報酬月額の上限額を引き上げ」を検討しています。
 これにより、具体的には入院時の食事療養費が1食の自己負担260円を16年度360円、18年度460円へ引き上げ。紹介状なしで大学病院を受診した場合、3割負担とは別に5000円~10000円の定額負担が強いられることになります。

定率補助変更せまる混合診療の道も開き

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国民の健康を守ることは政府の責任だ

 (4)その他で問題となるのは「(1)被保険者の所得水準の高い国保組合の国庫補助について、所得水準に応じた補助率に見直し、(2)医療費適正化計画の見直し、予防・健康づくりの促進、(3)患者申出療養を創設」の3点です。
 負担能力に応じた負担とする観点が強調されていますが、所得水準に応じた補助率見直しが導入されたことは、定率補助の考え方の変更をせまるもので、いつでも切り崩せるしくみがつくられることになりました。
 医療適正化計画の見直しでは、都道府県が医療費の水準などの目標を決め、重症患者のベット数の削減、入院時の平均在院日数削減がすすみます。
 患者申出療養は国内未承認医薬品等の使用や国内承認済みの医薬品等の適応外使用などを迅速に保険外併用療養として使用できるしくみとし、患者の治療の選択肢を拡大するものとされていますが、国内未承認医薬品の安全性・有効性の担保も明確でなく、従来禁じられてきた混合診療に道を開くものです。また患者の申し出を起点に保険がきかない自己負担の医療を拡大するもので、国民皆保険制度の崩壊につながります。
 「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険等の一部を改正する法律案」は4月28日に衆議院本会議で採択され、審議は参議院に移っています。参議院では野党の要求で関連法案が「重要広範議案」と位置づけられたので、(1)本会議上程後20日程度の委員会審議(6回)、(2)首相出席での集中審議の2点が慣例として行なわれることになります。首相の日程によって変動はありますが、5月26日採決の可能性が濃厚となっています。
 東京土建は東京社会保障推進協議会とともに、署名・国会議員要請・国会傍聴を行なっています。各支部でも学習会を開催し医療保険制度改悪に反対する運動を強化します。みなさんのご協力をお願いします。

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