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○  沖縄の辺野古移設ノーはなぜか

琉球新報 島洋子東京報道部長
「また基地か」の怒り
経済を阻害、抑止力も誤り

 「普天間基地移設としょうする辺野古への新基地建設」に沖縄県民は県知事選、衆院選など選挙のたびに「ノー」という民意をしめし続けています。戦後70年、沖縄で今何が起こっているのか。7月20日の東京社保学校での琉球新報の島洋子東京報道部長の講演をまとめました。(文責・見出しとも「けんせつ」編集部です)

IMAGE 沖縄はずっと「基地か経済か」という争点で選挙が行なわれてきましたが、経済・社会環境が変わり、戦後からずっと多くの基地を負担した上にまた基地を作るのかという怒りが沖縄の選挙の構図をかえたのです。
 私も「沖縄は基地で食べている」とよくいわれましたが、これは沖縄に基地を置き続けるための作られた神話です。県民総所得のなかで、基地から得る収入はわずか5%。その内の7割は思いやり予算、つまりは私たちの税金です。
 すでに仲井真県政時代に「基地は沖縄振興の阻害要因」と書かれていますが、かつて米軍基地だった土地が返還され街として開発された結果、大きな経済効果を生んでいることが目に見えてわかってきたのです。(右図参照)

 その仲井真知事が2013年12月、安倍首相から今後8年間3000億円台の予算と引き換えに辺野古埋め立てを承認し、沖縄の問題は金で解決できると世間に思わせ、沖縄県民を深く傷つけましたが、そもそも、この3000億円はどこの都道府県ももらっている交付税や補助金の総額で、そのほかに3000億円の基地迷惑料が支払われるのではありません。金額も県民一人あたりの予算額は沖縄は全国で7位、「予算をもらっているからガマンしろ」というのは誤解です。
 もうひとつの神話は抑止力です。普天間がなくなるとまるで、抑止力がなくなるようないわれかたですが、日本にある米軍基地の73・8%が集中する沖縄で、普天間がなくなっても、率にして73.4%、0.4%しか減らないのです。普天間がなくなっただけで、「中国に攻められる」というのはあまりにも沖縄をしらな過ぎる発想です。


どこも受け入れない
沖縄の理由はただそれだけ

 では、なぜ辺野古か。それは森本敏元防衛大臣の「軍事的に沖縄でなくともよいが、政治的に考えると沖縄が最適」のひとことにつきます。ようは「他府県で受け入れるところがない」という理由です。翁長知事も日米安保は必要といっています。本当に必要なら、本土でも負担してほしい、最近まで基地があることで起こる悲しい事件もあり、負担してもらうのは心苦しいと感じていた沖縄の人の思いです。
 私は個人的にはグアムでいいと思います。沖縄は中国に近すぎて米軍の中でも集中させると危ないという意見もあります。グアムなら日本が7000億円だす約束なのだから、検討し交渉すれば移設は可能です。
 沖縄県民は去年、選挙という民主的な手法で「辺野古移設ノー」の民意をしめしたにもかかわらず、安倍政権は一顧だにせず、最近は報道への圧力も高まっています。
 先日の自民党の文化芸術懇話会での「沖縄の世論がゆがんでいる」「沖縄の2紙はつぶさなかいかん」などは、自分たちがマスコミをいいなりにできるというおごりで、報道の自由が奪われたあとは、言論の自由がうばわれ、そしていきつく先は戦争です。
 東京からみれば、沖縄の住民運動に比重を置いた報道をしていますが、沖縄と政府の利害が対立している今、政府と沖縄住民の声を同じ比重でのせたら、大きな権力に住民の小さな声がかき消されてしまいます。地元紙は県民の、住民の立場にたった報道をするのが役割なのです。

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