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○ 学校から戦争する国に"

子どもと教科書全国ネット21常任運営委員 石山久男

 今夏は来年度からの中学校教科書が採択されます。そんな中、安倍首相推薦の育鵬社「新しい日本の歴史」は現場から「使いにくい」と声が上がっていると話す「子どもと教科書全国ネット21」常任運営委員の石山久男さんにききました。


国家に賛成だけせよ
自主性否定し現場の声無視

 問題は育鵬社、自由社ともに大切なことを書かず、一面的な考え方しか書いていないことです。たとえば日露戦争では、初めて与謝野晶子など戦争に反対する意見がでて大きな論争になり、ふつうの教科書ではのせていますが、いっさいふれずに国民全員がもろ手をあげて戦争に協力したかのように書き、太平洋戦争、沖縄戦までも一貫して同じように記述しています。
 しかし、本来は歴史も公民もいろいろな考え方があることを教え、自分で判断する力を身につけることが必要です。そういう点ではとても使いにくい教科書なのです。
 このように「一致協力した」ことしか教えないことで、政府が戦争をおこそうとしたときに賛成する国民を育てようと、この教科書を採択させようとしています。
 教科書を採択するのは地域の教育委員会ですが、基本的にはその地域で一番多くの学校が希望する教科書を教育委員会が承認してきた都などの決め方に対し、文科省が2000年に教育委員会だけで決めるよう通知。教育委員を任命するのは首長ですから、首長の意向で採択されます。
 本来は現場の教員の意見が尊重されるべきで、日本も採択した1966年ILO/ユネスコ「教員の地位に関する勧告」は教科書の採択には教員にもっとも重要な地位が与えられるべきとなっています。4月の文部科学委員会で畑野君枝議員(共産)の質問に文科大臣は勧告を「尊重する」と答弁。教員が希望する教科書の順番をつけることを「不適切でない」との局長答弁など活用し、地域の教育委員会に申し入れ、採択のあり方をかえていきたい。
 8月7日には多くの市民の声で23区でただひとつ育鵬社を採択していた大田区が不採択となりました。もっと運動を大きく広げましょう。


学び舎教科書 子ども多く登場
歴史を「わがこと」に

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学童疎開する子どもと残留組。学び舎の教科書には、
子どもがたくさん登場する

 「次のページをめくってみたくなる」。
 学び舎の「ともに学ぶ人間の歴史」はそんな中学歴史教科書を子どもたちにと、現役教員ら30人が実際の授業で手ごたえのあった教材を持ち寄り研究、4年半をかけ作りました。メンバーの山田麗子さんに話をききました。
 歴史が暗記学習にならないよう太字は廃止、テーマごとの見開きで、導入は子どもみずから問いが生まれるような具体的な場面を描いています。さらに、子どもや女性も多く登場させ、歴史を身近に「わがこと」と受け止められるようめざしました。また、広い視野をと年表は本州と北海道と沖縄にわけ、地域の独自性をしめしました。
 戦争についても多くのページをさいています。「赤紙が来た」のページでは、召集令状を復元し、送られた中国の戦場で何があったかを掲載、「餓死・玉砕・特攻隊」では過酷な戦場の現実を描いています。意見がわかれる南京事件は、8歳の女の子の体験をのせました。「戦争を体験した人の声をきき、戦争の現実をみて、平和について深く考えてもらいたいのです」と山田さん。
 「東京土建のみなさんにもぜひ読んでいただき、意見をきかせてください」。
 学び舎の中学歴史教科書は市販されています。お近くの書店にご注文ください。定価2000円プラス税

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