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○ 第64回企業交渉 600万円超実現せよ

「改善していきたい」
五輪関連現場データで迫る/竹中

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竹中工務店との交渉

 【共同デスク・村尾記者】竹中工務店との交渉は、組合側から神奈川県連の荒井団長をはじめ企業従事者を含む19人が参加。竹中からは調達部企画管理グループ長ほか安全環境部企画管理グループ長など4人が対応しました。
 「法定福利費を確保する代わりに、工事費部分を減額される」現場があることを質すと「法定福利費は経費に含まれるものだと明確に説明しているので、一方的な減額や調整単価などは絶対に禁止と通達している」と回答しました。健保適用除外関係で法人化の誤った指導により、1人法人、建設国保の脱退強要などが増えている仲間の発言に「あらためて近近の竹和会にて周知する。法人化というのは聞いていないので無いと思う」と回答。2次以下に対して間違った指導をした場合は元請として是正指導することを確認しました。
 オリンピック・パラリンピック現場の労働環境問題について「組合が行なった武蔵野の森スポーツ施設での賃金調査では、平均以下が3分の2を占めており、実態は会社の賃金調査とかなり離れている」と指摘すると「この結果はショックです。改善していきたい」と回答しました。次回の交渉まで.(1)賃金調査で年収と月収の調査、(2)オリンピック関連工事現場での賃金等の実態調査、(3)民間工事における建退共の全額負担の検討、(4)マイスター制度の拡大・到達状況の回答の4点の課題について確認し、交渉を終えました。

「1万円はどこへ」
具体的な回答なし/鹿島

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鹿島建設との交渉

 【共同デスク・小松記者】「『道半ば』という回答は、句読点を付けるところも含めて一字一句、前回の回答と変わっていないではないか」。現場労働者の賃金引き上げ実現の要請に対し「日建連提言の平均年収530万円は道半ば」と回答した鹿島建設(以下、鹿島)に、交渉に参加した仲間からは厳しい意見が出されました。「国交省が政策的に公共工事設計労務単価が引き上げられて4年、日建連の提言が出されて2年たっている。賃金引き上げは『道半ば』とは、我われはいつまで待てば良いのか」と迫る交渉団に「本当にできるのかは正直約束できない。精一杯やるべきことを続けるしかない」と鹿島側は答えに窮しました。
 五輪競技会場の公共工事で、落札率99.9%にもかかわらず、労働者の6割の賃金が1万5000円以下で、都の公共工事設計労務単価よりも1万円以上低いことについて「労働者に渡るべき1万円が、どこにいってしまったのか。その分析をしなければ、現場労働者の賃金が上がるわけがない」との追及に、鹿島は「2次以下の下請を調べなくてはいけないが、そこまでやっていないのが事実。なかなか難しい…」と、その後回答不能に陥りました。交渉団から「この乖離を放置しておくのか」とただされると「当社がやれることを精一杯やるしかない」と明言をさけました。
 交渉には鈴木団長(千葉土建)をはじめ30人と鹿島から11人が出席しました。

直接聴取強く要請
単価見直しも現場に届かず/積水ハウス

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積水ハウスとの交渉

 【共同デスク・山田記者】積水ハウス(以下、積水)との交渉は、佐藤団長をはじめ19人が参加。積水側からは16人が対応しました。
 まず、前回交渉の持ち越し課題であった「賃金調査の労働者からの直接聞き取り」「再下請がいる場合の法定福利費が、下請業者から支払われているかの直接確認」の2点について積水側は「検討していない」と回答。前回からまったく進展がないことから「協力会社のみの調査では、現場の本当の賃金は分からない。次回は必ず直接調査を」と再度、強く要請しました。
 現場の賃金が上がっていないとの声については「積水としては、平成26年8月に発注時の単価見直しをしてアップさせている。末端の現場については、1人1人の調査はしていないので我われには分からない」と回答。積水自身が現場の賃金実態を把握していないことが露呈されました。
 また、この単価アップは3職種(基礎・建方・大工)のみであったため、他の職種はアップさせないのか問うと「他の職種についても今年の9月にアップさせた」と回答。現場では、単価アップしていないと迫ると「単価アップについては、積水本社から支店、さらに協力会社などの下請へといくので、現場への単価アップは、タイムラグがでる」と回答しました。

「賃金上がってないぞ」
現場実態も指摘し追及/清水

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清水建設との交渉

 【共同デスク・山崎記者】伊東団長(東京都連)含め26人、清水側6人で交渉が始まりました。
 まず賃金調査の結果報告ですが、昨年と同じ20現場、示された数字は、ほとんどの職種で横並びの昨年より100円アップの回答。プリント配布も依然拒否で、要望をしてきた、公共と民間との区別と何次下請かの明示もされない状態。交渉の最初からその姿勢にがっかりさせられました。
 現場の労働者の賃金を引き上げるためにどのような努力をしているかと尋ねれば、「休日の増加も必要、認定した技能者には、手当を出している」としながらも、「1次下請との契約が基本」「すべて生産性の向上にかかっていて、協力業者の方方の協力が必要」というフレーズを何度も繰り返します。
 社会保険未加入対策については、前回同様1次は100パーセント加入、2次以下は前回同様(90パーセント以上)としながらも具体的な数字の提示はなく、参加者の中から、「賃金は上がってないぞ」との追及と、「下請会社の負担分以外に労働者の負担分については考慮しているのか」の質問に、「1次には法定福利費を支払っている」の回答のみ。法定福利費の追求だけでは、労働者の賃上げにはつながりません。
 最後に、個別事例の、管理不十分な現場の指摘、軍隊式朝礼の事例公共施設現場での駐車代徴収、などの改善要求を行ない、次回の交渉では、きちんと回答するよう要望し、終了しました。

調査頑なに拒否
応援との単価差を告発/大和

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大和ハウス工業との交渉

 【共同デスク・告坂記者】大和ハウス(以下、大和)との交渉には野老団長(千葉土建)をはじめ22人が参加。大和側からは5人が対応しました。
 前回からの課題であった「次数に分けて賃金調査を実施し、公表してほしい」という要望に対して、大和は「1次を通して調査を実施しているので、それ以上は踏み込めない」「2次以下のデータは信憑性にかけるので公表できない」など、頑なに拒否する姿勢をとりました。
 大和が示した賃金調査結果と、組合が実施した賃金調査とはおよそ1万円の乖離があることについて「大和の調査は、1次を通しているから、2次以下の賃金実態を正確に掴めてない」「2次、3次の賃金を把握しないで、労働者の処遇や賃金の改善はできない」「法定福利費算出のベースとなる賃金の把握をしないでどうするのか」など、強く詰め寄りましたが、前向きな回答は得られませんでした。
 また、大和が発注者であるマンション現場で働く内装工からは「出だしのエレベータも無い大変な時期から働き続けている職人より、工期終盤で応援に入る職人の方が単価は高くなる傾向にあり、この単価の差はおかしいのではないか」と告発。大和は「契約当事者間の問題などもあるが、現場の貴重な意見として受け止める」としました。最後に、不払い解決をはじめとする4つの確認書を締結し、賛同署名を取り交わしました。

法福費確保で前進
別枠明示は引き続き課題/住林

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住友林業との交渉

 【共同デスク・末松記者】住友林業(以下、住林)の交渉には建設埼玉の中村団長をはじめ、45人の仲間が参加、住林側からは8人が対応しました。
 下請への法定福利費の確保について、住林側は「現在、見積りシステムを改善していて、2017年4月以降の積算着工物件から法定福利費を工事項目ごとに明示する予定だ。また、再下請の場合も元請と1次下請の間で同様に法定福利費の内訳明示した見積書を提出、尊重するように指導していく」と前向きな回答を得ました。ただし、中村団長から「別枠明示か」と確認をしたところ、「細分化して1次下請に明示していくという意味。別枠ではなく、発注単価に応じ、決めた法定福利費の金額の中で明示する」と単価に含んでいることを強調していました。
 また、以前より話が挙がっていた「住林の工期設定が短い」という点について、住林側は「各メーカーの手法によって違いがあると思うので、他と比べながら検証をしていく。また、天候不順などで工期を守れないときは、工務店に工期補正の支払いをしている。しかし、集中的な戸建ての着工等は、平準化着工を行なうのは難しい。もし平準化できれば、皆さんへの圧迫した工期提示を改善していけるのではないかと考えている」と回答。組合側からも、「人員応援の経費も受けた金額から引かれていくという話をよく聞く。応援が生じた時は単価上げなどの改善点はないか」と要望を行ない、住林に対応を求めました。

2次以下は65%
社保加入費用必ず払う/大林

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大林組との交渉で発言する参加者

 【共同デスク・伊藤記者】組合はまず国交省が設定した社会保険未加入対策の期限がのこり半年を切った中で、加入指導と、法定福利費の支払いの広がりについて問いました。
 今年春のでは1次で3~4割、2次で2~3割だったものが9月末時点で1次で9割超、2次以下で6割5分の進捗が確認できました。法定福利費は社保加入ベースで支払っていたが、「7月より2次以下を含む協力会社の労働者が加入しているか否かにかかわらず全員に社会保険に加入するために必要な法定福利費を支払う」と回答しました。
 次に組合は賃金調査の日建連提言の平均年収530万が達成したかを問い、会社側による30現場約1400人対象に行なった賃金調査で左官・内装仕上げで1000円程の上昇があったものの、他の職種は横ばいでした。会社は、日建連提言に近づけるよう、SP職長制度の対象を2次までに広げ収入の上積みを可能にした。また1次業者との契約金を引上げたと回答。
 組合は、一定の評価をしたが、全ての労働者の賃金アップが優先されなければならない。約20万人の従事者の中で330人しか、SP職長になっていない。一部しか賃金が上がらないではないか、会社はそれを、「道半ば」と言うが、設計労務単価比率で2010年には、74.7%、翌年は75~77%台で推移していたものが、2014年以降60%台が続いている事にふれ、大問題だと指摘しました。

適正指導を約束
適用除外の理解求める/大成

 【共同デスク・浅野記者】大成建設(以下、大成)との交渉は才田団長をはじめ各組合から19人、大成7人で行なわれました。
 大成の賃金調査は、30現場744件を集計して報告されました。集計によると、前回調査に比べ微増、もくしは全体として変化がない実態が報告されました。交渉団からは「現場の労働者の賃金が上昇しない現状をどのように考えているか。大成は利益を上げているが現場労働者の賃金に反映できていない」と賃上げを迫る発言がありました。大成は「発注単価は引き上げている。会社の労務部で労働者の賃金を調べ、賃金問題に取り組む」としながらも、2次以下の下請企業まで指導はできないと、従来の立場を繰り返し。組合からは「組合で現場調査をしても賃金は上がっていない、元請から指導をするべき」とせまりました。
 健保適用除外など建設国保に関する理解不足から、1次下請から2次以降の下請に対して、協会けんぽに加入しなおすように指導されている。さらに建設国保では経費を減額する内容の文書が出されいるが、会社は認識しているかと質問がされました。
 大成から「建設国保の考え方は国交省と同じ。誤解の無いように指導を行なっていきたい。組合の保険に入っていることから、経費に差額が出ることはない」と返答がされました。

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