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○ 第33回 仲間の作品コンクール/文芸の部

短歌の部 選者・講評 碓田のぼる

金賞 この街も樹々に電飾灯されて 馴らされてゆく「安倍」の虚言に
小野かほる(西多摩支部)
【選評】「電飾」のもつ不自然さにも馴らされてゆくように、安倍首相の誠実さのない、真実からかけ離れている「虚言」に、馴らされてゆくのではとの、恐れと憤りを歌っている。二つの対比が、深い所でとらえられている。

銀賞 足ひきて急坂下る片麻痺の われに肩かす孫の厚き肩
諸星武司(多摩・稲城支部)
【選評】作品が呼び起こすイメージは、実にはっきりとしている。事実だけを歌っているように見えるが、ここには作者一家の生活がうかがえるのである。そして、どう生きるかが、孫に確かに伝えられている感じがする。

銅賞 新築の三階建ての家ならび 子らの声湧く町の若やぎ
篠田綾子(葛飾支部)
【選評】歌全体が生き生きしている。結句の「街の若やぎ」は巧みである。若やぎを感ずるほど、町は衰え、活気を失っていたのか、と思わせる。新築の家の出現は、そこに住む人だけでなく、町を若返らせているのである。


俳句の部 選者・講評 田中千恵子

金賞 老工の手の節くれも冬休み
西村明夫(調布支部)
【選評】新年をひかえた年の瀬、仕事が回ってこない。冬休みの子どもたちの遊び声をする中、この節くれ立った手も「冬休み」にするしかないのだろうか。年老いたとはいえ腕は確かなのに。「老工」の切実な声が聞えてくる作品である。

銀賞 地下足袋の魚の目なげく冬日かな
田中明(大田支部)
【選評】地下足袋は自分の皮ふと同じように、自在に動く仕事足袋である。が、足に「魚の目」が出来てしまって痛い。さてさて困ったことだ。現場職人のリアルな姿。

銅賞 扇風機うなる昭和の重き音
関谷博(江東支部)
【選評】昭和が終って、平成は29年になる。エアコンの時代だが、まだ使える「扇風機」を回すと昭和がよみがえる。家族も友人も知人も、多くの人が戦争で亡くなった。「重き音」のあの時代に、決して戻してはならない。


川柳の部 選者・講評 高鶴 礼子

金賞 やれ今日も無事に生きたと風呂の中
中村久枝(世田谷支部)
【選評】湯船の中で手足を伸ばした時の、あの、じわーっと湧き起こる、得も言われぬ心地良さ─。それは、まさに、ああ、今日も一日、無事に生き延びたなあ、という実感があふれてくる瞬間でもあります。それを、気張らず、気取らず、さりげない吐露に託して、実在感たっぷりに書き切ったところが手柄でした。描かれている《そのひと》の体温すら感じさせる、拵え事でない表出に惹かれます。

銀賞 おもてなし右か左かもめている
濱田晴恵(荒川支部)
【選評】作者が材を採られたのは、おそらくは数年後に迫った東京オリンピックに絡む種々の案件からではないかと思いますが、この句は、それにのみとどまらず、施主の側にいる人々の間に起こる、もめごとすべての様相として読めるところが秀逸です。加えて、「右」「左」という語を使うことにより、そのもめごとの背後には、ひょっとしたら政治的な思惑までもが潜んでいるのかもしれない、ということをも匂わせる語りとなっているところにもご注目を。「世界」の中に生きる者としての、《まなざしの確かさ》を感じさせる作品です。

銅賞 昔から自分ファーストしています
金谷修(江東支部)
【選評】おお、そうですとも、そうでなくっちゃ、と、思わず、賛同のエールを送りたくなってしまう吐露です。自分を大事にしてこその人生。そうであるからこそ、すべてのオトシマエは自分でつける、という潔い姿勢が持てる人間になれるというものなのですよね。この句は、何と言っても、どこぞの知事さんの「○○ファースト」という決めゼリフを、さりげなく持ってきたところがニクイほど(笑)。楽しさの中にある全き向日性が魅力です。

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