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○ 賃上げの具体策示せ 第65回企業交渉

大きい賃金調査の開き
2、3次もアンケートを/大和

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大和ハウスとの交渉

 【共同デスク・古木記者】大和ハウス工業(以下、大和)との交渉には、佐藤団長(東京土建)をはじめ、21人が参加。大和側は5人が対応しました。
 持ち越し課題の2次以下も含めた下請業者に対する正確な賃金調査に対しては、大和は「賃金は個人情報。直接契約を結んでいるのは1次業者」として、1次についてのみ口頭で説明がありました。
 これに対して組合側は、「賃金は個人情報だが、個人の名前等々、基本4情報を特定しなければ基本的には個人情報にはなり得ない。また建設業法では、すべての下請に対して元請は管理・監督・指導をする責任があるとしており、2次・3次について調査ができないということは違う」と、大和のアンケート結果と現場労働者の賃金に開きがありすぎるとして、実態の賃金が反映されるようしっかりと対処するよう要求しました。
 さらに「大和をここまで大きくしたのは現場で働く人。看板背負って仕事しているのに1次までと言っている。途中でお金をもらえないという事態になれば大問題」と、法定福利費が1次から2次以下まで流れる仕組みを作るように要望。これに対しては「しっかりとご意見をうかがった。2次・3次に法定福利費を払っていないことがわかればきちっと対応するコンセンサスは整っている」との回答が得られました。
 このほか労働環境について改善の報告があり、最後に4つの確認書と、賛同署名を取り交わしました。

下請への指導迫る
建退共全額負担を要望/竹中

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竹中工務店との交渉

 【共同デスク・浅野記者】竹中工務店との交渉は、斉藤団長(埼玉土建)はじめ各組合の参加者が24人と竹中からは4人で行なわれました。
 竹中の行なった賃金実態調査により内装仕上げで1日1万8756円(前回1万8723円)、電工で1万9534円(前回1万9457円)など前回の調査に比べ微増、もくしは変化がない実態が報告されました。交渉団からは「会社は利益を上げているが現場労働者の賃金に反映できていない。下請の労働者全体の賃上げのため、1次と2次以降の労働者を区別して調査をし、賃金の引き上げにつながるように指導してほしい」と要望しました。竹中は「1次と適切な契約をしている」としながらも、2次以下の下請企業まで指導はできないと、従来の立場を繰り返しました。組合からは重ねて下請指導をせまりました。
 社会保険未加入対策では、「法定福利費は、建設国保加入者や手続き中の企業も含めて100%支払っていると認識している。業界をリードするつもりで取り組んでいる」とする竹中に対して、引き続き減額されることがないよう要望しました。
 また、建退共については民間工事で半額負担の竹中に対して、全額負担を要望。全部の現場ではむずかしいとする企業に対して、入職者が安定している現場から全額負担を実施してほしい、と重ねて要望し、引き継ぎ課題としました。

処遇改善に前向き姿勢
深刻な事務負担も考慮/清水

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清水との交渉

 【共同デスク・鈴木記者】清水建設(以下、清水)との交渉は東京都連の窪田団長を先頭に22人が参加し、清水は8人で対応しました。
 清水から賃金アンケートの報告がありましたが、例年通りペーパーレス。交渉団は次回から「ぜひ資料をペーパーで手渡すこと」を再度、要求すると共に、「1次〜3次」とまとめて報告するのではなく、次数ごとでの賃金額を求めました。
 清水側のアンケート結果では前回と大きな上昇がない中で、交渉団は建設業法第24条6項にある下請負人に対する特定建設業者の指導を強調しながら賃金引き上げの具体策を求め、また技能労働者育成の共同の取り組みなども提案すると、「技能労働者の処遇改善の取り組みは道半ばだが、業界をよくしていこうというベクトルは皆さんと同じ。この間の交渉で朝礼の短縮など改善もはかってきた。提案を参考にしていきたい」と清水側は歯切れが悪いものの、前向きな姿勢は示しました。
 法定福利費に関しては、金銭的なことばかりでなく、標準見積書の作り方、その他の書類の書き方など事務的に新たな煩雑さが発生し、零細な下請には深刻な負担になっていることを元請は考慮して適切な対策を考えてほしいと交渉団が求めると、清水は「持ち帰り検討する」ことを約束しました。最後に窪田団長は魅力ある産業にするため賃金引上げ、労働条件の改善などをスピードアップしてすすめることを強く求めました。

一人親方問題で前進
初めて公共現場調査/大林

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大林組との交渉

 【共同デスク・村尾記者】大林組との交渉は、神奈川県連の荒井団長はじめ組合側から16人が交渉にのぞみましました。大林組から建築事業部工事第1部部長ほか生産企画部担当部長など14人が参加しました。
 荒井団長は開会あいさつで「スーパーがスピードを持って賃金アップを。大林組が職人ファーストで取り組んでほしい」とせまりました。
 賃金調査の結果で、微増にとどまっている実態について「下請は1次だけではない。『1次に言っているから』というだけで、責任を果たしているという認識なのか」と問いただし、大林組の現場労働者の賃金確保・引き上げの取り組みの不十分さを指摘しました。金額の公表はなかったものの、初めて公共現場でも調査が行なわれ「平均して10%前後高い賃金」と報告がありました。
 見積り条件について「処遇改善に必要な経費を法定福利費と同じように『削られない』仕組みや、技能士資格に対するインセンティブを次回までに検討、回答して欲しい」と要望しました。
 一人親方問題では「急に社長に労災に入ってこいと言われる例が多い。元請としても踏み込んでほしい」と要望すると「個別的な、悪すぎる事例については『直接どこの会社がどこに』ということを教えてもらえれば解決が早いと思う。組合との情報共有をして解決をしていく」と大林側から前向きな回答がありました。

工程適正に行なえ
経費の差っ引き正せ/住林

 【共同デスク・末松記者】住友林業(以下、住林)の交渉には建設埼玉の中村団長をはじめ、43人の仲間が参加、住林は7人が対応しました。
 今回、一番に上がった問題が、賃金の関連でした。元請である住林と1次下請では、法定福利費込みで2万4千円としているものが1次・2次間では、法定福利費込みで、1万7千円で契約を求められ、尚且つ一方的な罰則等を含め半ば強制で契約をさせようとしている実態が、仲間からの情報提供で明らかになりました。
 また、現場の賃金は、住林が行なった調査報告書とかけ離れていることも明らかになり、組合側より賃金アップを強く訴えました。住林は「罰則に関しては、表彰することはあっても課すことはない。大分方向性が違うので、指導していきたいと思う」と回答をしました。また、現場からの声として、作業工程の適正化についても話がありました。ある現場では、足場の解体と同時にハウスクリーニングの作業が数件あったとのこと。作業の効率などをみても同日ではなく、別日を設けてほしいといったことを訴えました。これに対し、住林側からは、「生産性の向上等に関わる内容なので、元請としては十分注意したいと思う」と回答をしました。
 住林側からも要望があり、「各事業者が社会保険をわりと知らない。一緒になって指導していただきたい」との話があり、今後組合側と協力し説明会の開催などを検討していくことが話されました。

トップ企業の気概を
入場制限しないと確認/鹿島

 【共同デスク・山崎記者】賃金調査結果を読み上げた後、「上昇傾向にはあるが、平均年収530万円は道半ば」と、またもやこれまでと同じ回答の鹿島建設。「皆さんと思いは同じ」と、下請との対話の努力を強調しつつも、「皆さん、なぜ上げないのか」と、上がらない原因を下請の責任にし、「責任逃れだ、徹底した指導を」との抗議に対しても、「やれることを地道にやるしかない」と、業界のトップリーダーとしての危機感や業界改善の気概は感じられません。
 社員化に伴い時間外や有給休暇、4週8休の話になると「月給制は良いことだが生産性の向上にはつながらないという事業主もいる」と、下請の声を紹介する形で本音がチラリ。
 個別事例では「法定福利費を請求したら支払えないと言われた」「一人親方が2次の社員として入場させられた」との改善要求にたいしては、「すぐに言ってほしい。指導する」との回答。4月からの現場入場制限の件では「社保手続き中である証拠を示してくれれば問題ない」「一人親方でも施工体制台帳にきちんと上げていただければ大丈夫」との確認をしました。
 設計労務単価の必要経費41%の内訳を示し、現場へポスター掲示を要求し、賃金調査結果のペーパー配布と詳細公表、解体現場入場時のアスベスト学習会の開催など次回での改善要請をし終了。菅原団長を先頭に26人、鹿島から9人の参加でした。

早期教育は検討する
国保差別には指導する/大成

 【共同デスク・小松記者】企業側が行なった賃金調査でも、前回調査と比べてほとんど変わらなかったことを「同じ労働者を調査しているわけではない」「理由は分からない」などと回答する大成建設(以下、大成)に対し、交渉団からは「下請への発注単価が変わっていないからだ」と指摘。「世間の物価が変化していない」との的外れの答弁に、参加者からは「受注額が増え、受注件数が減っているのだから、受注単価は間違いなく上がっている」「最終下請の労働者にまで行き渡らせるための指導力を発揮してほしい」などの意見が相次ぎました。
 社会保険の加入指導にあたって、交渉団から「組合員が大成の現場で『建設国保ではダメ。協会けんぽでなければ現場に入れられない』と言われるなど、建設国保に対する差別が首都圏全体で起きている」と告発。「もし下請企業が誤った指導をしているなら、2次以下でも直接元請から指導をしてほしい」と要請。大成は「現場が特定できれば直接指導する」と約束。また『建設国保は適法』と知らせる啓発ポスターの現場掲示も「検討する」と答えました。
 従前から問題視されていた新国立競技場建設現場で、6時半から行なっている新規入場教育は「次回交渉までに違う方法がないか模索する」としました。交渉には鈴木団長(千葉土建)をはじめ21人と大成から10人が出席しました。

2次以下も調査を
法定福利費不払い指摘/積水

 【共同デスク・山田記者】積水ハウス(以下、積水)との交渉は、石渡団長(神奈川県連)をはじめ17人が参加。積水側からは17人が対応しました。
 前回の課題「建退共証紙を公共・民間工事を問わず貼り付けを」については、「積立年金制度を活用している。公共工事は請求があれば貼る」と回答。「法定福利費が再下請に支払われているかの直接確認」については、「相手の経営に踏み込むことになり難しい」と回答しました。組合側は、建退共について「臨時で積水に入る人もいる。臨時には民間工事にも貼り付けを」、直接確認については「社保加入は進んでいるのに法定福利費が2次以下には支払われない場合がある。次回は直接調査を」と強く要請しました。
 賃金単価について前回交渉では「平成26年にアップした3職種(基礎・建方・大工)以外も28年9月にアップさせた」と回答がありましたが、現場から「まだアップしておらず総額は同じ。発注内訳書の『その他工事』欄で調整しているのでは」との声に、積水側は「単価は順次改定している。発注内訳書については担当が不在のため次回に回答するが、根拠のない数字ではないと思う」と回答。
 また、2次下請の仲間からは「1次に法定福利費を請求すると『積水から支払われていないので払えない』と言われた。書類で表示しているだけではないか」との声も。次回までに必ず調査・回答するよう要請し、交渉は終了しました。

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