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[連載] 主張と見解


第2199号 2017年2月1日付

長時間労働に法規則を

 厚生労働省は、労働基準監督署が昨年4〜9月に立ち入り調査した全国1万59の事業所のうち、約44%の事業所で違法な長時間労働を確認し、是正勧告したと発表しました。
 同省は2015年度から事業所への立ち入り調査の結果を発表していますが、今回の調査から調査対象の事業所を「月100時間超の残業の疑い」から、過労死ラインとされる「月80時間超」に範囲を拡大しています。その結果、立ち入り調査に踏み切ったのは、前年同期の4861事業所から1万59事業所へと倍増。長時間労働の疑いで是正勧告した事業所も、前年同期の2917事業所から4416事業所に急増しています。このうち残業時間が月80時間超だったのは、80%に近い3450事業所。月200時間を超えるケースも116事業所あり、過労死ラインを超える残業が横行している実態が浮き彫りになっています。
 一方で同省が「長時間労働規制の在り方を検討する有識者会議」に提出した論点整理案では、労働者を残業させる際に労使で結ぶ必要がある「36協定」について「長時間労働の歯止めとして機能していない。規制の在り方として法改正を検討する必要がある」ことを示しました。
 しかし経済界などの「繁忙期に配慮してほしい」との声をふまえ、「1日」「1週」といった短期間で上限を設ける規制には「留意が必要」と述べるにとどめ、退社から出社まで一定の休息を確保する「インターバル規制」については、「企業自らが導入することを促していくべきだ」との表現にとどめました。これでは法的規制を骨抜きにするもので、長時間労働の是正も過労死をなくすこともできません。真に働く者の立場に立った法規制が求められます。

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