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[連載] 主張と見解


第2202号 2017年3月1日付

暗黒社会くり返さない

 政府は3月上旬をめざして「共謀罪」(「テロ等準備罪」)法案提出を準備しています。しかし、金田法務大臣が法案提出後に議論を重ねるべきだとする文書を記者クラブに配布したことに対し、野党は「質問するなと言わんばかりの国会質問封じだ、言論弾圧だ」と批判。法務大臣の資質に欠けるとして辞任要求が出される事態となっています。
 また安倍首相は「共謀罪」の対象について一般の人が処罰対象になることはないと答弁してきましたが、法務省が「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団にあたり得る」との見解を発表し、野党はこれまでの答弁と矛盾すると批判しました。
 政府は「共謀罪」はテロ対策のために必要だとしていますが、日本はすでにテロ防止のための国際条約を締結し、重大犯罪を未遂より前の段階で処罰できる国内法があり、政府が「共謀罪」が必要という国際条約はテロ対策が目的ではありません。
 「共謀罪」は「犯罪の実行行為を処罰し、思想や内心の意思を処罰しない」という近代刑法の基本原則に反しています。東京五輪を口実に思想・内心を取り締まり、言論の自由を抑圧し、労働運動や市民運動を弾圧する法律を成立させようとしているのです。「共謀罪」の捜査のためには会話や電話、ブログやSNS、メールまで監視されます。行き着く先は密告が横行する監視社会です。
 戦前、治安維持法は労働運動を拘束することはないと政府が説明し制定されましたが、実際は労働運動、宗教者、学生、自由主義者など弾圧の対象が広がって行きました。この歴史を繰り返してはなりません。

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