純情商店街
JR中央線 高円寺駅下車徒歩/1分
阿波踊りで賑わう街  ― 移り変わり見守るアーチ ―

【杉並・左官事務・上原きみゑ記】
 高円寺駅北口から中程を見上げると「高円寺純情商店街」のアーチが目に飛び込んでくる。
 このアーチが命名されたのは1989年に第101回直木賞を受賞したねじめ正一さん(高円寺で生まれ育った)の『高円寺純情商店街』が大ヒットし、それにちなんで付けられたものと言われています。
 今でも元銀座商店街の名称は健在ですが、ニックネームとして付けられ、街に親しみが持てるようにと15年ほど前、バブルの最盛期で街も活気づいている時代にこのアーチは建てられました。それ以来、商店街の人たちや周辺の人々の夢を描き発展させる役目を果しています。
 高円寺の街は、年に3回の「ビックリ市」と、8月26日が宵祭、27、28日に氷川神社礼祭があり、有名な阿波踊りが並行しておこなわれています。今年で48回目を迎える阿波踊りは笛と太鼓で人々を呼び寄せて、可愛い「ひよ子連」から始まって、笑いの止まらない踊りや整然としたまさに美しい踊子の姿が観客の目を引き付けます。「3日間で踊子は1万人を超すでしょう。観客は120万人あるでしょう」と商店街事務所では話が出ていました。
 身も心も浮き立つ笛と太鼓の音色は街を活気付かせます。「踊る阿呆に、見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」と見る者も、踊子も両者一体になり、夏の風物詩に満足しています。
 純情商店街のアーチも、春夏秋冬の様々なドラマをじっくり見つめ、3日間の一瞬の賑わいにも驚きながら、「平和だからこそうれしい夏祭りを迎えられるんだよなあ。それから景気の回復も待ち遠しいなあ」と呟いているようです。