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機会不平等/斎藤貴男著
弱者を固定化する新階級社会を告発する
【東京地評・高木典男記】著者は90年代以降、今日に至る構造改革路線は強権的に格差をとめどもなく拡大させ、100メートル競走に喩えれば、片や本来のスタートラインよりさらに100メートル後ろから走らされるハンデを背負い、片やはじめから99・9メートルのおまけが与えられている。自己責任原則だから負けた奴が悪い。これがこの国の現在ではないかと言う。
第一章「ゆとり教育」と「階層化社会」、特に「教育改革」の領域がひどい。冒頭、ノーベル賞の物理学者・江崎玲於奈(教育改革国民会議座長)の「いずれ就学時に遺伝子検査をおこない、遺伝子情報に見合った教育をしていくであろう」という恐ろしい話を紹介している。現在の「教育改革」を象徴する話である。
第二章派遣OLはなぜセクハラを我慢するか。第三章労組はあなたを守ってくれない。第四章市場化される老人と子供など、一気に読ませる。
第五章不平等を正当化する人々では、竹中平蔵はじめ御用学者について厳しい。なぜそのような思想を持ったのか、出自から遡って調べ上げている。本書の具体例に基づいた機会不平等の実態には、戦慄を禁じえないと思う。
森永卓郎の解説がコンパクトで的を得ている。「放っておけば、日本はますます金持ちが支配する社会に変わっていくだろう。簡単に止められそうにないが、国民に選挙権がある」(文春文庫 670円)
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