10月のニュース
 

2005年10月1日
機関紙「けんせつ」第1798号より

Index

史上初の全支部目標達成めざす
1万人の多摩南ブロックへ
拡大率でトップに
全国の仲間に共感
増税発言に怒り
ゼネコン・住宅企業はアスベストに適正な対策をとれ
「安全施工」を徹底せよ 資材の点検、被害実態調査も
「アスベストは安全」 石綿スレート協会パンフ
アスベストの処分で政府や都と交渉準備
「住居法」の制定をめざす
ゼネコン・住宅企業交渉で月50万要求をぶつけよう
収益回復する大手企業 現場労働者の賃金切下げ
現場から仲間の声
現場と地元企業訪問
材料持ち塗装工にも賃確法適用
派遣先の賃金不払い追及
脳腫瘍で大手術
消費税廃止求め地域の仲間と毎月宣伝
世田谷が運動会
敬老の集い 浜名さん参加
「本物の家づくりを学ぶ」



史上初の全支部目標達成めざす
事業所から反応次々
清瀬久留米は石綿講習宣伝
いち早く目標を達成した狛江支部狛江団地分会
 史上最高の峰124、000人実現をめざす秋の拡大月間はちょうど半分を終り、はじめて目標の40%到達を果たし、2615人の成果をあげています。東村山、品川、清瀬久留米、狛江、豊島、多摩・稲城、北、目黒、西多摩、江東の10支部は目標50%を突破しています。この成果は幹部の高い決意をもとに、「節目標」を追求し、事業所拡大の前進とアスベスト対策のアピールが浸透してきたことが大きなポイントになっています。後半も、中間決起集会でさらに決意を高め、「拡大の最大のチャンス」を生かし、昼間、土・日行動もとりくみ、全支部目標達成へ全力をあげましょう。

「親方から土建国保のメリットを詳しく聞いた」と加入の動機を語る作間和昭さん(前列右)前列左が親方の川島琢磨さん。後方は説明に当たった中島(左)、伊藤(右)両書記
 昨年を上回るペースで、月間を折り返した清瀬久留米支部、「以前から継続してきた大量宣伝と早目の事業所への声かけの効果が形に見えるようになってきた」と、その好調の理由を分析しています。
 9月末、第4次行動前に、石綿作業者特別教育実施の案内を市内未加入の事業所約500件に送付したところ、郵便が届いた28日、建材、土木工事、解体工事、産廃収集運搬を営む事業所から問い合わせが入り、さっそく訪問して社長以下7人が加入しました。
 また、夜に入って給排水工事を行なう親方が職人の作間和明さんを連れて事務所を訪れて石綿特別教育の申し込みと未加入だった職人の作間さんが組合に加入しました。
 その後も、15人ほどの事業所3社から合同で「組合の説明会を開いてほしい」など、申し出もあり、月間最終盤に向かって大きく拡大の可能性を切り開いています。

1万人の多摩南ブロックへ
各支部170人拡大と気勢
団結のこぶし高く
 07決戦に向け1万人の多摩南ブロックを建設する「05年・秋の拡大月間中間決起集会」を9月23日、京王プラザホテル多摩で開かれ、ブロック4支部と来賓合わせて130人が参加しました。
 開会のあいさつを小出八王子支部委員長が行ない、安藤多摩・稲城支部委員長が議長支部として「多摩全体で5万人、南ブロックで1万人、1支部170人以上の拡大を達成したい」とあいさつ。
 集会は池上本部副委員長、松尾常任中執から激励のあいさつを受けた後、岡田町田支部委員長の乾杯と続き、参加した4支部の仲間はそれぞれ舞台に上がり、決意表明とガンバローを繰り返し、気勢をあげていました。

春は超過で達成率で1位めざす
佐藤さん
【足立・佐藤二九二・古千谷分会長】
 春の拡大は目標超過達成で終えた。秋の拡大も事業所からの紹介とともに、組合員からの対象者に対して業務内容を詳しく説明し、加入に結び付けています。早く目標を達成し、さらに足立支部拡大率トップを目指します。

新分会長ですが超過で8人やる
井沢さん
【荒川・井沢力・町屋第3分会長】
 私は今年33歳にして町屋3分会の分会長になりました。分会の方針通りに、組合員・事業所訪問をくり返し、春の拡大は超過達成できました。秋の拡大でも、日頃のつながりを生かしながらも、地道な行動で6人目標のところ半分まで到達しています。目標の6人ではなく8人と、超過達成できるよう、組合員総動員で奮闘します。

品川
拡大率でトップに
気を締めて2100人めざす
【品川・書記・伊藤暁記】
 9月29日、支部会館において「支部・分会合同拡大推進委員」を60人の参加で開催しました。当日の拡大数は、昨年同時期の倍以上の71人となり、月間拡大率でも38支部中トップに踊りでるなど最高の雰囲気の中で前半戦を折り返すことができました。
 秋の月間に入り豊分会が9月15日に目標達成したことに刺激されて拡大が進みました。9分会が節目標をやり、西品川と南品川が目標を達成しました。
 これからは、秋の拡大月間目標達成と2100人支部実現に向け、最後まで気を抜くことなく、組合員・家族が一致団結して頑張りぬくことを確認し、閉会となりました。

「建設人・9条の会」730人参加で発足
全国の仲間に共感
9条に恩返しの運動
待たれた発足集会では戦争体験者の発言もありました
 9月27日、池袋の豊島公会堂に首都圏の組合員・主婦の会会員、建設関係の学者・研究者など730人余が結集して、「建設人・九条の会発足記念集会」が開かれました。この会は、建設政策研究所(永山利和理事長)に参加する首都圏の建設関係諸団体の有志、26人の呼びかけ人によって準備されました。
 準備委員長を務めた荒井春男さん(元東京土建書記長、建設政策研究所副理事長)が経過報告をかねた開会のあいさつの中で、「1昨年、9人の先達によって九条の会が発足して以来、全国津々浦々に燎原の火のように広がった憲法9条を守ろうという機運が盛り上がっている中で、日本の重要な産業分野の建設で九条の会がないのはおかしい、一日も早くと準備を進めて、やっと今日を迎えた。今日を基点に全国600万人の建設産業で働く仲間に憲法9条の大切さを訴え、共感の輪を広げ、何としても憲法9条の改悪を阻止しよう」とのべました。
 集会は、「日本国憲法前文」を歌う北川てつさんの力強いうたごえに続いて、弁護士の田中隆さんと九条の会事務局長の小森陽一さんがそれぞれ講演し、「総選挙後の国会は、改憲勢力が多数を占めたが、国会の外では憲法9条を変えてはいけないという声が多数。今こそ草の根からの反撃を」「戦争による破壊ではなく、平和であってこその建設産業。建設人はこぞって憲法9条に恩返しを」などの訴えを聞きました。

9団体42人が宣伝活動
増税発言に怒り
青年など62人が反対署名
足を止め聞く人も多くあった宣伝活動
【税金担当書記・中村修一記】
 総選挙が終われば増税発言。やっぱり国民をだましたな。大衆増税については、白紙委任をしていませんよ小泉ソーリ。
 谷垣財務大臣の「消費税率の引き上げやむなし」の発言など、選挙中はいっさい増税の発言を行なわなかった政府は「庶民増税」についてつぎつぎと発言を繰り返しています。
 増税問題があらためてクローズアップされた9月22日、新宿駅西口において東京土建をはじめ、消費税廃止各界連など9団体42人(東京土建17人)が集まり、「大衆増税反対、消費税率の引き上げを許すな」と昼休み宣伝を行ないました。
 東京土建から松本書記次長が宣伝カーに立ち、「建設業者の経営を破壊する消費税に断固反対」「財政支出を変えて財政の健全化をはかれ」と訴え、道行く青年、デパート帰りの女性などが足を止め、わずか1時間余の宣伝で62筆の署名が寄せられました。

ゼネコン・住宅企業はアスベストに適正な対策をとれ
 「アスベスト対策はきちんととっています」。ゼネコンも住宅メーカーも言いますが、「監督も発注者も知らないから、アスベストをそのまま処理しちゃえということもあった」(ゼネコン従事者)というのが、実態です。現場で働く建設労働者と施主、住民の健康を守るため、10月の企業交渉ではアスベストの適正な処理と対策をゼネコン、住宅メーカー、サブコンに要求していきます。

「安全施工」を徹底せよ
資材の点検、被害実態調査も
アスベスト処理は古いビル、建物の解体工事がもっとも問題になってくる
 企業交渉でゼネコン、住宅企業に要求するアスベスト関係については、現場の実態をふまえて、次のように要求していきます。
 (1)アスベスト含有製品の即時使用中止の確約を求めます。現場でアスベスト建材が発覚した場合の対応も含めて回答を求めます。
 (2)元請責任でこれまでの現場に従事したすべての人を対象に、被害実態の調査を求めます。すでに中皮腫、肺がん等り患者については、すべてへ労災の適用を求めます。
 (3)石綿障害予防規則遵守など徹底した安全対策を求めます。「事前調査」を求め、その情報をきちんと伝えること、アスベストを使用している場合、作業計画書を作成し、石綿作業主任者(特定化学物質作業主任者)の有資格者の配置と特別教育修了者以外は作業をさせないことなどです。
 (4)アスベストを使用している危険現場、作業の指示に対しての作業拒否権を認めさせます。また、安全施工のための経費と、工期の保障を求めます。
 (5)過去の就労も含めて、労災認定のために元請の施工証明書の交付を求めます。
 これらの要求に基づいた「アスベスト・粉じんに関する安全確認書」を結ぶことも求めていきます。

「アスベストは安全」
石綿スレート協会パンフ
 1987年8月、石綿スレート協会は「石綿スレートと健康Q&A」を発行し、「石綿は優秀な現代の建築材料です」とつぎのような主張をしています。
「石綿は発ガン物質ですか」
「石綿による肺がんの発生を確認した報告は乏しいのが実情です。…単独では発ガンを誘引する働きに乏しいが他の発ガン誘引物質と複合した場合にその作用を促進させるのではないかと考えられています」。
「石綿を吸引して健康上害がありませんか」
「石綿による危険はタバコや交通事故の危険はいうに及ばず、日常生活の中で起こりうるいろいろな危険に比べてもはるかに低い」。
「石綿スレートは石綿繊維を飛散しますか」
「飛散することがあっても無視しても差し支えないと考えられています」。
 このように「石綿曝露は許容される危険の範囲内」としているのです。
 1987年といえば、東京土建は「アスベスト全面使用禁止」を求めて運動を開始し、ILOやWHOなどの国際機関でも発がん性が指摘され、アイスランドやスウェーデンはアスベストを全面使用禁止にしています。そのような時期にアスベストの安全性を強調し、多くの国民の命を奪った企業、黙認し続けた政府の責任を追及していくことも大きな課題です。
さがしています
石綿含有と表示のある建材・資材のカタログを提供してください
(10年~30年前のもの)
 いま、東京土建の組合員に10~30年前に石綿を吸ったことが原因と考えられるアスベスト疾患の患者が増えています。
 これを職業病として労災申請をする時に、いつ・どこの現場・どんなものを・どのように・何の道具を使って作業をしている中で石綿の粉を吸ったのか、を明らかにしなければなりません。
 そこで組合員の皆さんに10~30年前発行された建材や資材のカタログをお持ちの方は、本部に提供していただけませんか。
連絡は東京土建アスベスト対策本部まで
電話 0120‐187‐514

アスベストの処分で政府や都と交渉準備
 アスベスト問題が大きく報道されるようになって、「アスベストを含む建材は誰も引き取ってくれない」、「処理費用が高騰して困っている」、「信用できる業者を教えてほしい」などの声が寄せられています。
 東京土建はこのような声に応えて、東京都環境局との交渉や、政府環境省との交渉を準備しています。アスベストに関して、現場で困っていることや実態について、情報を本部アスベスト対策本部(0120・187・514)にお寄せください。
 また、政府が準備中の「アスベスト新法」に対しても、全建総連を通じて責任問題や救済方法などについて意見をあげ、社会的な責任を果たしていきます。
石綿含有資材リストを作成
 アスベストを含む建設資材を調査し、まとめた冊子を10月初めに各支部に配布します。点検や解体の際に活用してください。

石綿特別教育と作業主任受講を
 東京土建は全支部で「石綿障害予防規則の特別教育」と「特定化学物質等作業主任者」の講習を行なっています。支部に問い合わせ、必ず受講しましょう。

「住居法」の制定をめざす
最低居住水準の確保
国土交通省交渉すすめる
「住居法実現実行委員会」結成集会
 「日本に居住する人は誰でも居住の権利が保障される。国の責務として、最低居住水準以上の確保をめざす」などを柱とする「住居法実現実行委員会」の結成集会が9月29日、新宿モノリスビルで開かれました。
 参加したのは、国民の住まいを守る全国連絡会、都市機構労組、全国借地借家人組合連合会、全国公営住宅協議会、東京土建など、住宅のつくり手と住み手の各団体から104人(東京土建23人)。
 坂庭住まい連代表幹事が基調報告をおこない、公共住宅の拡充・整備、戸建住宅の改善、改修、借地借家法について課題を提起しました。
 続いて各団体から報告があり、東京土建から清水書記次長が「耐震診断・改修助成事業など、安全・安心なまちづくり」について報告しました。
 団体署名にもとづく国土交通省交渉やパンフの作成、国会議員要請など、今後の活動と池上本部副委員長を住居法実現実行委員長とする体制も確認しました。

ゼネコン・住宅企業交渉で月50万要求をぶつけよう
収益回復する大手企業
現場労働者の賃金切下げ
企業への主な要求
 第43回企業交渉で組合がゼネコン、住宅企業に要求する主な内容です。(アスベスト対策を除く)
(1) 現場の賃金実態の調査と報告。(何次の、何職の、何歳かも)
(2) 公共、民間を問わず、設計労務単価(関東で平均1万7860円)を下回らない賃金にする。
(3) 生活に必要な賃金として月額50万円以上を保証する。
(4) 不払い発生時の立替払い。
(5) 手間請労働者の賃確法の適用に協力を。
(6) 建設業法第19条の遵守と指導。
(7) 建退共証紙を貼付してください。

 建設労働者・職人の賃金確保、労働条件改善に向けて、関東地協による第42回大手建設・住宅企業交渉が10月20、21日に行われます。両日とも午前中は、豊島公会堂で交渉に向けた決起集会。午後2時から各交渉先(48社)に分かれての一斉交渉です。今回は、アスベスト問題を重点に、ゼネコン・住宅企業が軒並み収益を回復している中での特別な交渉と言えます。

企業交渉前に豊島公会堂で決起集会を開催します
現場訪問で賃金実態をききとる仲間
 政府は不良債権処理を進めさせ、ゼネコンの淘汰・再編、リストラを促進させてきました。その結果、中小企業には貸し渋り、貸し剥がしを強行し倒産に追い込み、倒産は至上最高となりました。さらに公共工事の縮小で、ダンピング受注や指し値発注などの熾烈な低価格競争を生み出し、現場労働者の賃金が、際限なく切り下げられてきました。
 一方で、首都圏の建築工事で、鉄筋、型枠大工の技能労働者不足が深刻化しています。「同じ賃金なら、楽な仕事がいい」と若年層が建設業から離れていく背景があります。1日1万円に満たないアルバイト並みの低賃金が入職不足の構造と言えます。
 このままでは、建設業に未来はなく、建設業発展のためには、若い入職者確保と後継者が育成できる賃金と単価の保障が必要なのは誰の目にも明らかです。
 今日の建設業界において、これらを実現させる力は、建設現場の労働条件の改善を求めてたたかう私たち東京土建の組合運動でしかありません。そのために私たち組合が現場に入り、具体的な問題を取り上げて、企業と交渉することが重要です。それしか今日のゼネコン等の横暴を食い止める手段はありません。
 もう泣き寝入りはやめましょう。一人では交渉できなくても、組合という団体であれば、企業も耳を傾けせざるをえません。「生の声」を企業にぶつけ、私たちの要求を実現させましょう。

現場から仲間の声
 各支部や東京都連の従事者会議などで出された大手現場の実態をピックアップしてみました。
【ゼネコン関係】
東急建設 元請が処理すべき産廃を下請に押しつけて、費用を引かれてしまう。
大成建設 埼玉・再開発現場。荷揚げリフトは企業交渉で追及したので3千円が1500円に下がった。駐車場代は全部下請持ちで月2万円になる。工程管理はひどい。工期が遅れると「人間入れろ」と応援が入って、赤字になってしまう。
鹿島建設 都内のビル。駐車場代は職長会の名目で取っているが会計報告はない。事務器具のリース代も職長会が負担している。入って3ヵ月になるが単価は決まっていない。
前田・清水 左官 一人工2万円だが1万9千円の業者が入ってくると低い方に流されてしまう。
大成建設 小さな怪我をしたら、下請の労災保険を使わされた。
【住宅メーカー関係】
住宅メーカー専門の設計 決算期前は仕事が集中し、急がされて充分な設計時間取れない。ついミスが発生してペナルティをとられてしまう。
積水ハウス 荷受代・安全費用はすべて手間代に込み。仮設トイレもない場合がある。
セキスイ化学 鉄骨と木造の単価表が同一になった。和室の造作は赤字だ。
三井ハウス 組合が安全衛生対策を要求するのはいいことだが、その費用負担などは下請に押し付けられる。
パナホーム 保証金3%、協力金1割積立てる。瑕疵補償とは関係のない解体業でもとられるのはおかしい。
トヨタホーム 会社の都合で工程が遅れたのに、足場はずされ、トイレも持っていってしまう。仕事にならない。

府中国立
現場と地元企業訪問
職人「工期に追われて大変だ」
【府中国立・書記・吉田健一郎記】
 府中国立支部では、9月6日に現場での産業民主化のたたかいと、地域における公契約運動を前進させるため、賃金総行動にとりくみました。午前中は本部の唐沢書記を講師に招き、賃金学習討論を開き、運動の重点や現場対策の意義について認識を深め、午後は雨の中、地元企業9ヵ所・市内現場7ヵ所を23人が5班に分かれて一日行動となりました。
 地元企業懇談では「公共工事が減少して経営困難。スーパーゼネコンだけが儲けている。大手ゼネコンは強気で、一次業者は弱い立場に。低単価の押し付け傾向にある。現場監督の未熟さも感じられる」など会社役員の話でした。
 市内現場要請では、事前に工事状況、事務所位置などを下見し、清水、大林、鹿島の現場、公共工事現場、地場ゼネコン現場を訪問しました。清水の現場では、安全対策アスベスト教育は専門の子会社でやっている。建退共については公民問わず貼付している。駐車場1台1000円。賃金安いと職人が減るので心配だ、など突っ込んだやりとりも行ないました。大林組の現場では本社へ連絡し、交渉団を事務所に通さず30分も待たせるといった事態で、対応に問題がありました。

賃金は1日1万5千円位い
 職人さんの聞き取りでは、賃金15,000円くらい、仕事が終わらず工期が迫っているとの不安な声もありました。すべての訪問現場で、「書面での契約」は最終下請まで確認してなく、これでは追加変更工事が発生した時トラブルや工事代金・賃金の不払いにつながります。最終下請まで賃金等支払い状況などを把握し管理するよう要請しました。
 東京土建が、地元企業やゼネコンの中でも認知され、信頼され、大きな存在になってきていることは間違いありません。参加者一同、現場の改善を積み上げていくことの必要性を実感しました。

材料持ち塗装工にも賃確法適用
ぱっと倒産の新興産業
会社負担免れる偽装請負だ
【本部・溜口芳明記】
 「ぱっとサイデリア」で有名になった新興産業が、03年1月倒産。すでに施工員契約(請負)を交わして専属的にサイデリア(外壁)、ねでりあ(屋根)、営繕工事、ゆーらんど(浴室)などの施工に従事していた組合員の賃確法(賃金確保に関する法律)適用が認められましたが、塗装および一部営繕施工員への法の適用が保留されていました。8月31日、東京労働局の裁決がだされ、少量の材料を持ち「工事請負契約」を交わした塗装施工員にも賃確法を適用し、未払い賃金の80%が救済されることになりました。

塗装作業中の職人さん
応援の職人入れている
 塗装職の組合員に対し、立川労働基準監督署は会社の支払う工賃に「材料代が含まれ報酬の労務対償性がない」、「応援の施工員を入れている」などを理由にして「労働者であったと認めることができない」と、法適用を否認しました。
 これに対して、組合は昨年4月「反論書」を提出し、その判断を待っていたもので、会社倒産から2年7ヵ月、反論書提出から1年4ヵ月経た、本年8月東京労働局の採決がなされたものです。
 採決は、結論部分で「これらの事情の下で行なわれる請求人の業務の実態は、会社の使用従属関係の下における労務の提供と評価すべきものであり、その報酬は労務の対価の要素を多分に含むものであるから、請求人を同法(賃確法)にいう労働者と認めるのが相当である」とし、「その請求はいずれも理由があることからこれを容認し、主文のとおり採決する」というものです。

労働者の権利奪い
材料負担させる支配形態
 東京労働局の裁決は、新興産業の業務形態に踏み込んでいます。
 「施工業務を行なう労働者を雇用することによって生じる、人員調整の硬直性、労働基準法上の責務、労働社会保険料の会社負担、施工不良による損害賠償責任等を回避して、経費の節減を図るため、第三者(施工員)に委託してきた」、「各施工業務を自らの完全な支配下におくために、誰にも雇われず誰も雇わないで工事を請負うことを建前とする一人親方との間で専属的に契約してその施工業務を行なわせる」事情があったなどです。
 つまり、会社の利益を第一義的とした「偽装請負」契約を形づくり、会社負担を免れ、施工員を労働者の権利のらち外に放り出していたとし、「工賃に塗料代が含まれている」との立川労基署の主張に対し、「新興産業が、塗料の管理責任を回避して経費を節減するために、塗料を塗装施工員に負担させていた事情があり」、「請求人が一年間に購入する塗料代金を二割引きで購入したとしてもその利益は1ヵ月当たり8249円でしかなく、報酬の中に塗料代が含まれていることで労働者性を否定するのは相当ではない」としました。

全国の一人親方に朗報
 この労働局の裁決は、全国に及ぼす事例でもあることから、政治的な判断・検討もされたようですが、立川監督署は「残っている方については労働者性は争うことなく、すみやかに賃金額の確定作業を行ないたい」と、今後の進捗をスムーズに行なう旨組合に回答がありました。
 組合の労働者性を認めさせる運動に、大きな一歩を残せたことを強調しておきたいと思います。

職長は組と下請の板ばさみ
大きな現場では、職長がパソコン使えないと仕事にならない。休憩所がだんだん狭くなっているし、照明も暗い。コンセントも少なく、漏電など危険がいっぱいだ。タイルは品不足だ。窯元がつぶれている。
下請会では、職長が展示会のイベントなどでただ働きさせられる。駐車場の負担など、いろんな形で下請に負担が及ぶのは納得いかない。
職長が宿舎や現場の点検をやらされる。一斉清掃は週2回、単価安いのに、自分の仕事ができない。
汐留の現場、残業していると「組」からお金を請求された。
防衛庁跡地の現場では、掃除用具を持参させられる。そんなことやってられない。

勝村が民事再生の適用申請
 大手企業交渉先でもある中堅ゼネコンの勝村建設が9月29日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。負債総額は約316億円。公共事業削減で売上の減少、もと幹部が関わった競売入札妨害事件で国土交通省や地方自治体から指名停止処分を受け、新規工事が受注できなかったのが原因とされています。
 同社は受注済みの工事は予定通り行なうということです。債権者説明会は、10月4日午後2時から「東京流通センター アールンF(第2展示場2階)」で行なわれます。
 組合の仲間にも被害が及ぶ可能性が大いにあります。被害にあわれた方は、各支部に連絡してください。

派遣先の賃金不払い追及
人材会社に払わせる
【三鷹・書記・門傳富夫記】
 人材派遣会社による建設現場への労働者派遣は法律で禁止されています。しかし、三鷹支部のTさん(本人の意志で名前の公表は避けます)は、麹町にある人材派遣会社S社と雇用契約を結び、7月からゼネコン3社がJVを組む新宿区内の現場で就労し、賃金の不払いが発生しました。Tさんの結んだ雇用契約は、業務請負契約書となっており、業務内容は「現場員に準じた業務(施工図作成含む)」となっており、東京労働局の見解では明らかに法律違反が明確と指摘しています。
 支部では、東京労働局の見解をS社に示し9月27日交渉を行ないました。S社の見解は、「JVの一次下請であるサブコンのA社からお金をもらえないから払えない」との見解でした。支部は「法律違反を犯してTさんと契約を結んだS社に責任がある。S社の責任でTさんに不払い賃金を支払え」と要求し、S社に支部の主張を全面的に認めさせ、不払い賃金をTさんに払わせました。

品川の中島敏子さん
脳腫瘍で大手術
家族も入院無料とは
こんないい制度知らなかった
元気になった敏子さん(右)とお母さんの梢さん
【品川・書記・伊藤暁記】
 品川支部の中島博さん(板金・66歳)の娘さんの敏江さんは、特にこれといった持病もなく、毎日元気に過ごしていました。
 昨年の12月、いつもの駅で降りようとしたところ、「あれ?後に引っ張られる感じがするなぁ」と思っている内に意識を失い、救急車で運ばれて即入院となりました。
 検査の結果、左前頭葉に良性の脳腫瘍が見つかりました。
頭部を水平に切開し、頭蓋骨を外し、腫瘍を取り除き、また頭蓋骨を戻して金具で留めるという大手術を行いました。
 入院期間は三ヵ月近くにおよびました。

頭部を切開し腫瘍を取除く
 お母さんの梢さんが組合事務所に訪れたところ、昨年4月に『家族入院一部負担金全額払戻制度』で窓口負担が『ゼロ』ですむ「委任払い制度」が家族も利用できると聞き、さっそく手続きをしました。
 梢さんは「組合員本人の入院時の医療費全額払戻制度は知っていましたが、家族も入院した時に全額戻ってくるとは知りませんでした。不幸中の幸いです」。お父さんの博さんも「組合には本当に感謝しています」と話します。
 現在敏江さんは、通院も2カ月に1回ですむほど回復されました。
 後でわかったことですが、「委任払い制度」を利用しなかった場合、後から全額戻ってくるとはいえ、窓口で負担しなければならなかった額は約120万円にのぼりました。
 組合員・ご家族のみなさん、入院された際や医療費の支払いでお困りの際は、組合事務所にご相談ください。

清瀬駅
消費税廃止求め地域の仲間と毎月宣伝
マツケン姿でチラシを配る霜村書記
 1989年に消費税が導入されてから現在に至るまで、毎月24日に西武池袋線の清瀬駅北口で消費税廃止の駅頭宣伝が行なわれています。
 東京土建清瀬久留米支部と地域の人たちの協力で、運動の火を絶やさずにと16年間も続けています。
 9月24日は石垣書記長、古名税対部長を先頭に10人が参加。霜村書記がマツケンに負けじとキンピカの着物とチョンマゲ姿でパフォーマンス。
 当初から参加している石崎佳子元主婦の会会長は、次のように話してくれました。
 「ここは屋根もあるし、西友があるから人通りも多いのです。消費税の導入で、私たちからとった税収と大企業の減税が同じ額というのは許せないですよ。小泉さんは、さらに消費税率の引上げをねらっているのですから、なんとしても地域の草の根の力で阻止したいと思います。継続は力だと信じて、あきらめずに続けていきます」。

世田谷が運動会
当日22人が組合加入
息をあわせてムカデ競争
【世田谷・書記・高井香理記】
 9月11日砧総合運動場で世田谷支部第24回大運動会を開催し、来賓26人を含め560人の参加がありました。開会式では岩佐委員長、本部の池上副委員長のあいさつの後、向田組織部長より拡大の訴えがありました。
 人気の「パン食い競走」や観客も一体となった「借り物競走」、主婦の会による踊りでは、多くの人がグランドにでて「炭坑節」と「阿波踊り」にみんなで楽しく興じました。団体戦の「ムカデ競走」は息を合わせて走るのが大変で、転ぶと観客の歓声が上がりました。
 メインイベントの「分会対抗リレー決勝」では、午前中の予選を勝ち抜いた6分会が、抜きつ抜かれつしながらゴールをめざしました。昼休みには、昨年も協力をいただいた『彩生』による太鼓の演奏を楽しみました。
 今年は拡大月間中の運動会ということもあり、加入者1人につき5点の得点を加えることとなり、当日はその甲斐あって22人の加入がありました。
 得点競技も例年より大幅に増やし、白熱した運動会となりました。

台東
敬老の集い 浜名さん参加
【台東・電工・渡邉榮一記】
 古希70歳を迎えた仲間を全執行委員とシニアのライトシルバーの会と厚生文化部の主催による「第36回敬老のつどい」を9月16日宵、浅草「まつり湯」の宴会場で開催しました。
 古希を迎えた仲間は、今年は19人。そして、既に古希を過ぎた先輩159人のうち、50人ほどの参加をえて賑やかな祝宴となりました。
 今年は、地元浅草公会堂で前進座によるわれわれと同じ建設職人の話である「五重塔」の公演を全面的に応援しようと大変な力を入れてとりくんでいるので、前進座からこの芝居に出演する女優の浜名実貴さんと営業部の女性にも参加をしてもらい「五重塔」の宣伝を兼ね宴会場をさらに華やいだ雰囲気にしていただきました。これから台東支部席100人を埋め尽くそうと奮闘中です。

「本物の家づくりを学ぶ」
東京建築カレッジ11期生募集中!11月9日説明会
猛暑の中上棟した実習棟に勢ぞろいした10期生
 東京建築カレッジが11期生を募集中です。カレッジ(略称)は、東京土建が設立した職業能力開発短期大学校。来年4月、開校10周年を迎えます。木造建築を中心に週2日(金・土)2年間、実習と座学で本物の家づくりを学びます。働きながら建築に夢を持ち励んでいる若者の入学を心から歓迎します。
 カレッジ生の一番の取り組みは研修生全員でつくる実習棟。9月に上棟しました。実習棟は、また、実験棟でもあります。最大70キロニュートンを加圧して、建物の変形から力の流れと安全・安心の構法のあり方を勉強します。
 また、カレッジでは伝統建築から現代技術まで現場と学校で2年間2866時間を学び、校外学習として、地域の木材を生かす飯能・秩父の棟梁や林業者、製材業者の方々の取り組み、また、古建築の宝庫奈良への宿泊研修など、伝統建築から現代建築の技術まで、木の良さを生かす技と知恵に学びます。

もの造りの感動を力に
橋本英夫先生

 これからの家づくりでは、素材の持つ力を生かし、技術・技能で、「もの」に生命を与えられる職人が求められます。
 「東京建築カレッジ」は、生徒が毎年「実習棟」を立ち上げ、伝統的な技法と先人達の残したものを理解し、現代構法への教訓を見つけ学習をしています。さらに、構造実験などをする中で、木を知り、人を知り、自然を知り、人と人、人ともの、ものとものとをより美しく、たくましくかかわり合わせることのできる職人をめざし学んでいます。
 研修生には手道具を使った「もの造り」での「感動」を「前進」の力にして家づくりを楽しみ、仕事好きになり、自信を持って、施主と喜び合える技術と技能を身につけた職人に成長してほしいと思います。

林さん
通わせてくれる親方に感謝
林 剛(九期生)

 人手がいるのに学校に出るのは自分も辛い。親方や先輩にはいつも感謝。研修生や先生に物事の見方、感じ方を教えられるし、自分の成長につながる。遠回りかもしれないが、それができる学校だ。

浦野さん
水道屋さんも設計屋さんも
浦野雄樹(十期生)

 「建築カレッジ」では、たくさんの先生が教えてくれる。同じ学年で学ぶみんなも水道屋さん、設計士、鳶、もちろん大工もいるが、年もいろいろ。それがまた面白い。先月建った10期棟。力を合わせしっかりできた。これからの造作が楽しみだ。

宮本さん
情熱ある先生、愉快な仲間
宮本小綾さん(十期生)

 カレッジに入って六ヵ月。建築の道に入って六ヵ月。大工作業歴六ヵ月だ。ここでは情熱ある先生が指導してくれ、笑わせてくれる同期生や先輩がいる。楽しく学べている。これからの一年二年が楽しみだ。

募集要項
応募資格 建築の仕事に携わりながら建築技術・技能者を志す意欲ある方で、(1)高校卒以上、(2)18歳以上で学校長が(1)と同等と認めた方。
(実務経験、性別は問わず)
応募締切 11月16日(水)
試験日 11月21日(月)
応募書類 当日消印有効
試験 作文と面接
応募書類 入学願書、学校調査書(新卒のみ)事業所調査書(既卒者のみ)、健康診断、応募理由書、推薦書。(郵送可)
費用 入学金10万円。授業料月額3万円。他は実費負担
手道具一式貸与。
雇用保険加入事業主に賃金助成が支給されます。
学校説明会 11月9日(水)午後2時と午後7時の2回。会場は池袋校舎(豊島区池袋1~8~6)