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ガンを克服した喜び
夏の夕暮はまだ熱気が残り、病院の受付に人の気配はなかったが、強引に診療を頼み込む。幸い医師が病院にいて、すぐに診てくれるとの返事。これも運が良かった。 ともかく泌尿器科に入った。血が凝固して尿道をふさぎ苦しいので、ドレインを通して小便を抜いてもらい、内視鏡検査を受けた。「痛みがないならガンだな」と医師は軽く言う。「手術の用意もしておこう」と看護婦とも打合せをしている。「おい、おい。ガンなのか」と不安になったが、医師はお構いなしに検査して、「尿管腺膀胱ガン」との診断だった。 10日後に手術。膀胱全摘出、人工ストマー装着の7時間の手術だった。あれよ、あれよと恐怖を感じる暇もない。集められた子供たち4人も驚くほどの短時間での手術だった。 しかし、そこからが本当の闘病だと予感していたが、大変な闘病生活だった。 強い抗ガン剤による消化器の不調と発熱。9月末から10月の初めに、夜中に何度も黒い霊柩車に乗って病院の裏口から出て行く夢を見た。しかし、内科の医師の治療で胃腸が回復。点滴からオカユ食へと変わった。手足は細り、18キログラムも痩せたが、気力だけは失わなかった。「生きて病院を出るんだ」と頑張り、今度は白い霊柩車の夢を見た朝、「これで生きていける」と確信した。 それから一進一退もあったが、12月10日、東京の大雪の翌日、雪景色の中を退院した。その間、土建国保のお陰で入院費の心配が全くなかった事には感謝している。 (中野)
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