11月のニュース
 

2005年11月10日
2005年11月1日

2005年11月20日
機関紙「けんせつ」第1803号より

Index

12万5千人の東京土建実現
秋の拡大月間 奮闘した全都の仲間
杉並支部 3600人の組織を実現 分会も目標達成を祝う
練馬支部 全分会達成7177人に 事業所拡大で大きく前進
調布支部 全都10位の拡大率に
村山大和支部 月間拡大7.95% 40周年へ向け奮闘続く
日曜行動でじっくり対話
中皮腫で苦しみ死んだ父 遺族の加藤麻衣さんが涙の訴え
中野で「意見書」採択 3組合で「公契約」を推進
核戦争起こすな核兵器なくせ 被爆60周年大集会
ストップ小泉、STOP石原
11月24日から神奈川で日本平和大会開く
侵略戦争美化するもの 労働団体が靖国参拝批判
アスベストの使用禁止 被害者を救済せよ 第43回 建設・住宅企業交渉
大成 アスベストの完全禁止 「使用禁止の検討する」
竹中 型枠1万1千円〜2万円 依然として低い賃金
大林 「偽装倒産、サギ業者増える」 工事代金の立替払要求に
清水建設 若い人が入職しなくなると認識
鹿島 民間工事の建退共証紙 「半額負担で貼付する」
積水 石綿処理費が1.5倍に 「健診記録は心もとない」
大和 立替払い3回目の交渉 「ここでは話できない」
パナホーム 月40万〜70万(経費込み) 「施工証明だす」
「五重塔」成功させよう
真実を見極める目を マスコミ左右する大企業
学習した技を表現 第8回「東京建築カレッジ祭」開く



12万5千人の東京土建実現
拡大目標達成を祝い、さらなる前進を誓いあう東京土建中央執行委員のみなさん(11月1日)

史上最高の組織を達成
目標超過の7000人こす成果あげる

 9月1日から10月31日までとりくんだ秋の拡大月間で、東京土建は7232人の新しい仲間を増やす歴史的な大成果をあげました。これで、11月1日現在の組織人員は12万5039人という史上最高の峰に到達しました。組織人員だけでなく、月間目標達成37支部、年間拡大目標達成支部27支部、対1月現勢実増5339人(38全支部)、分会でも目標達成が599分会とすべての指標で最高を記録しました。

目標達成へ総力戦
アスベスト対策も生かす

 今年の拡大月間はアスベスト対策が未加入者、事業所の関心を集め、前半戦からハイペースで成果をあげて、9月末までにはじめて目標の40%を達成しました。
 10月に入ると、その勢いはさらに加速し「地域の企業に宣伝したらドドッと入った」(日野支部)、「ゼネコンの2次下請の事業所がまとまって入った」(港支部)などの経験が、全都で数多く生まれました。
 アスベスト対策とともに「役員の拡大行動にがんばる姿を見て仲間が協力してくれた結果」(市瀬本部組織部長)、「役員と書記局、さらに主婦の会もがんばった」(東村山支部)、「3年連続7%拡大やろうという伊藤書記長の訴えに応えた」(村山大和支部)など、全組合員・家族あげての総力戦が拡大成功をもたらしました。
 全分会が目標達成したのは荒川、台東、墨田、板橋、練馬、目黒、杉並、八王子、東村山の9支部。青年部、主婦の会、シニア友の会も含め、すべて目標達成したのは荒川、葛飾、台東、墨田、江東、板橋、北、品川、目黒、新宿、中野、武蔵野、狛江、多摩西部、西多摩、小金井国分寺、府中国立、八王子、小平、清瀬久留米、西東京、村山大和、東村山の18支部でした。

秋の拡大月間
奮闘した全都の仲間

杉並支部
3600人の組織を実現
分会も目標達成を祝う
群再編の課題を克服した達成した荻西分会
【杉並・書記・紅林美枝子通信員】
 杉並支部の秋の拡大月間は、10月31日で199人を越す仲間の拡大がすすみ、支部大会で目標にした3600人支部が実現しました。
 拡大行動のけん引役として拡大目標を超過達成した分会が5分会もありましたが、その中でも荻西分会は、27日に早々と土建まつりの反省会と拡大打ち上げを兼ねた祝宴が開かれました。
 荻西分会の組織部長・星野谷直之さんは、そのあいさつの中で『組織革新を図ろうと群再編成に挑み、一時は脱退、分会移動などのため組織人数を減らす現象が生まれましたが、やがては組織の若返りを伴った活性化につながるという信念で取り組み、この秋やっと元の人数に戻り、さらに上乗せできるような拡大運動へとすすみました』と語りました。
 分会独自で事業所へアスベスト情報のダイレクトメールの送付、さらに電話入れするなど取り組みには迫力があり、元気の良い組織拡大がすすみました。お祝いのテーブルには主婦の会の豪華な手づくり料理が並び、大勢の仲間がかけつけ達成を喜び合いました。

練馬支部
全分会達成7177人に
事業所拡大で大きく前進
若い新加入者を歓迎する桜台分会の仲間
【練馬・書記・武田栄一通信員】
 練馬支部は今年の大会で中期計画の初年度として、7100人支部を築く事を目標に決め、秋の拡大月間にとりくんできました。見事目標をやりとげ、7177人の峰を築きました。
 アスベストの講習の受講をきっかけとする組合加入と、土建国保の制度の優位性で加入がすすみ、また事業所拡大も近年にない成果をあげることができました。
 その結果全分会が目標を達成し、27分会のうち17分会が超過達成したのも、大きな特徴で、組合への期待の高まりを示しています。

調布支部
全都10位の拡大率に
【調布・書記・鷲尾俊彦記】
 調布支部は中間決起集会を契機として、一気に成果が伸び、148人を拡大、拡大率も6・72%で全都10位の成果を収めました。今期は分会が早期のうちに月間と年間目標をやりとげ、拡大行動を終りたいと奮闘し、意気あがる行動となりました。
 現在、目標達成分会は9分会となっています。

村山大和支部
月間拡大7.95%
40周年へ向け奮闘続く
超過達成を喜ぶ狭山分会の皆さん
【村山大和・書記・伊藤亜也子記】
 村山大和支部は11月1日現在、達成分会が13分会で、163人の新しい仲間を迎えました。5%目標を大きく超え、7・95%に達し、支部目標の137人を大きく超え172人を拡大しました。
 達成分会は東街、狭山、なか南、奈良橋湖畔、中藤神明、伊奈藤、事業所など13分会となりました。
 東街分会は「ファミリーカード」を持参して組合員訪問を徹底的に行ない、対象者の掘り起こしをしました。
 また、狭山分会では30・40代の組合員から未加入者の紹介があいつぎ、「労災や税金申告、請負賠償保険などいい制度がたくさんあって、ぜひ利用したい」と超過達成に結びつきました。
 この秋の拡大月間は、2年後の支部創立40周年を2400人で迎えるための土台作りと位置づけ、全分会が最後の最後まで奮闘しました。

日曜行動でじっくり対話
太田さん
【清瀬久留米・大工・太田正明記】
 私たちの野幸分会は119人、9群の分会です。
 いつも拡大統一行動は夜間行動となり、行動時間が少ないうえ、訪問される側も疲れているので、じっくり対話をすることができません。そこで野幸分会では、毎週日曜日を行動日に決め、一日昼間行動を多くとりました。そして組合員とじっくり対話することで対象者が広がり、加入に結びつきました。
 10月20日に8人の目標を達成しましたが、さらに2人拡大して超過達成することができました。

中皮腫で苦しみ死んだ父
遺族の加藤麻衣さんが涙の訴え

石綿被害者救済を
雨の有楽町で署名246筆
【本部・書記・高見京子記】
 「石綿対策全国連絡会議」は10月22日、ノンアスベスト社会の実現とすべての被害者への補償を求める請願署名を有楽町マリオン前において午後1時から取り組みました。
 当日は小雨の降る中、全建総連の仲間やアスベスト被害患者の家族など約50人(東京土建から6人)が参加し、2時間という短い時間でしたが246筆の署名を集めました。宣伝カーからは、各団体の代表がマイクを握り、東京土建の三宅常任中央執行委員が、アスベストの危険性や取り組みについて報告しました。
 最後にアスベスト被害者の遺族、加藤麻衣さんから「父が中皮腫を発症した時はもう手遅れで、苦しみながら死んでいった」と涙をこらえながらの訴えがあり、アスベストの危険性を知らされず、働かされていた労働者の無念と家族の悲しみを改めて感じさせられました。
 アスベストによる健康被害はこれからさらに広がることが予想されており、被害者の救済とあわせて、真のノンアスベスト社会を実現するための世論づくりが、私たちの活動に求められています。

中野で「意見書」採択
3組合で「公契約」を推進
【中野・書記・板垣寿一記】
 中野区議会は10月24日、国に対して「公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保等に関する意見書」を全会一致で採択しました。これは総務委員会が中野支部、建設ユニオン、中野建設組合がそれぞれ提出した陳情を一括審議し、全会派一致で可決したことをうけたものです。
 中野では02年秋、区内3組合で「公契約条例の検討を求める」陳情を提出、審議のたびに委員会傍聴を大量に組織するなど強力な運動を進めましたが廃案となりました。中野支部は、これを教訓に、世論作りをすすめ、「賃金一斉宣伝行動」には中野駅前の宣伝を欠かさず、区議会会派要請も続けてきました。
 また、会派懇談では公契約問題を必ず重点要請項目として訴えてきました。今年2月には支部主催で公契約法・条例の学習会を組合内外に呼びかけ約40人で開催、区議4人の参加も得ました。
 中野の結果は、これまでの運動の積み重ねと全国的な運動の前進、採択の自治体がこの半年で約二倍近く増えたことも大きな力となりました。

核戦争起こすな核兵器なくせ
被爆60周年大集会

全ての被災者を認定せよ
「原爆症集団訴訟」勝利めざす
横井久美子さんと合唱し核廃絶を誓いあった
 被爆60年の節目を迎えた多くの被爆者は、かろうじて一命を取りとめたとはいえ、心と体に生涯癒えることのない深い傷を負ったままです。被爆者にとって、この間の60年は戦後ではなかったのです。10月18日、原爆症集団訴訟の勝利をめざす「被爆60周年大集会」が東京九段会館で開かれ、全国から駆けつけた被爆者と支援者でいっぱいになりました。
 長崎の松谷秀子さんは爆心地から1・2キロの自宅で爆風に飛ばされた瓦が頭を直撃して、そのため大きな障害を負うことになりました。しかし政府は原爆症と認定せず、松谷さんは不自由な体をおして裁判をたたかい、認定をかちとったのは02年7月のことでした。最高裁で原告全面勝利が確定するまでに実に11年もかかりました。
 全国に26万人余の被爆者がいます。このうち原爆症と認定されているのはわずかに2000人余。政府の意図的な原爆被害の過小評価によって圧倒的な被爆者が心と体の痛み、不安を抱えながら生きなければならない現実があります。被爆者はもう待てないのです。
 「全ての被爆者を原爆症として認定せよ」と全国で集団訴訟がたたかわれており、いまその裁判が大詰めを迎えています。参加者はこの集会を契機に裁判をたたかう大きな連帯と協同の輪を広げようと誓いあいました。

支援者のアピールと歌声で
感動と決意が会場に満ちた
 集会では、「私たちは『被爆者』原爆地獄の苦難を背負うものたちの名前です。8月のあの日から60年がすぎました。病気、生活苦、差別、負い目、さまざまな苦難の日々でした。しかし、私たちは歩み続けます。ふたたび被爆者をつくるな!核戦争を起こすな!核兵器なくせ!」のアピールが会場をひとつにし、人間の尊厳を失うことなく生きつづけてきた全国各地の被爆者の代表が、人類と共存できない核兵器の恐ろしさを語り・伝え、何としてもこの集団訴訟に勝利する決意を語りました。また、支援者・団体を代表して東都生協、日青協、原水禁国民会議、NGOピースボート、高校生平和ゼミナール、大学生、熊本の民医連などの発言が続きました。
 今回の集団訴訟を支援するため、黒人霊歌アメージンググレイスのメロディーにのせて「人間を返せ」(詩人・峠三吉の詩)をCDにして発売し、その売り上げの全てを日本被団協に寄付した横井久美子さんや、シンガーソングライターの小室等さん、JMIU東日本鉄工労組の岡史明さんなどが歌声を披露、松谷秀子さんも参加する「寺井一道と被爆者歌う会ひまわり」が合唱組曲ひまわりを演奏して、会場を感動の渦が包みました。
 被爆60年、被爆者の平均年齢が70歳を越え、被爆2世、3世の発症も深刻です。アメリカは核兵器による人類への冒涜を謝罪し、加害責任を明らかにし、日本政府は英断を持って全ての被爆者の全面救済にあたるべきです。

ストップ小泉、STOP石原

学校現場からの報告も 東京自治フォーラム開く
世田谷が防災報告
全都から90人が参加した東京自治フォーラム
 「憲法と都政‐平和で人間らしい暮らしを地域から」をメインテーマに東京自治フォーラムが10月15〜16日の2日間、箱根「開雲」で90人の参加で開催されました。
 実行委員長の東京土建本部の清水謙一書記次長が基調報告を行ない、7月の都議選、9月の衆院選の2つの選挙結果に大きな違いが見られたこと、かたや自民後退、民主の前進から一転して、小泉自民の大勝、民主の大幅後退、共産・社民の維持。そこには、2大政党への誘導と争点そらし、マスコミを総動員したファシズム的手法の活用があったと指摘しました。
 しかしながら、首都東京においては連続した2つの選挙を通じて石原ファッショ・小泉強権政治に抵抗する勢力が基本的に議席を維持したことは、都民切り捨て、大資本のための都市づくり、福祉・教育の破壊などに抵抗し、人間らしく住み・暮らせる東京を求める切実な願いが潜在していることを証明し、そこに変革の力がある。このフォーラムの課題は、地方自治への攻撃が本格化している中で、「どのように住民の暮らし、利益を守るのか、自治を守るのか」さまざまな現場でたたかっている仲間の意識と要求に応えうる政策と運動を交流しよう、と結びました。
 第1日目は、ジャーナリストの斉藤貴男さん、名古屋大学教員で東京自治問題研究所副理事長の進藤兵さんがそれぞれ講演し、足立区における学力テストの結果公開と教育破壊について、都教組足立支部の橋本執行委員長が学校現場と教職員の実態を報告しました。
 2日目は、5つの分科会に分かれて討論と交流を行ないました。その中で「東京の防災まちづくりを考える」分科会で東京土建世田谷支部の西田浩人書記長が行政と提携した防災活動の経験を報告し、大いに参加者の関心を呼びました。(「建設労働のひろば」新年号で詳報する予定です。ご期待ください)

11月24日から神奈川で日本平和大会開く
 米軍基地の再編が合意される中、「2005年日本平和大会in神奈川」が11月24日から27日まで、横浜を全体会場に横須賀、厚木、座間などの基地調査もふくめて次のような日程で行なわれます。
 11月24、25日 国際シンポジウム(神奈川エルプラザ)、25日夜・開会集会(神奈川県民ホール)
 26日午前・基地調査行動、午後・座間基地集会
 27日 シンポジウム、分科会 午後・閉会総会(横須賀市民文化会館)
 本部からは向井常任中執、小野寺書記、澤田書記を派遣し、支部は地域からも参加していきます。
 *基地調査、分科会には参加費が必要です。

侵略戦争美化するもの
労働団体が靖国参拝批判
 10月17日の小泉首相靖国神社参拝強行を各労働団体は次のように批判しています。
 平和フォーラム声明(連合系労組で構成)「大阪高裁も違憲判決を下したように、明らかに政教分離の原則を定めた憲法を否定するものであり、侵略戦争を美化する行為」。
 板内全労連事務局長談話「憲法の平和原則に違反する小泉首相の反動的な本性を示したものであり、侵略戦争の反省をいっても、近隣諸国をはじめとする国際的な信頼を得られない」。
 この他、歴史教育者協議会など6団体も共同で抗議声明を出しました。

アスベストの使用禁止 被害者を救済せよ
第43回 建設・住宅企業交渉

豊島公会堂で決起集会
のべ1441人が企業交渉に参加
 全建総連関東地方協議会はゼネコン・サブコン32社、住宅企業13社に対し、アスベスト対策や生活に必要な月額50万円以上の賃金などを求めて10月20、21日の両日、のべ1441人(東京土建530人)の参加で第43回建設・住宅企業交渉をおこないました。
 交渉に先だち豊島公会堂で決起集会を開き、佐藤良治関東地方協議会議長は「アスベスト問題で仲間の健康と市民の健康を守るために、企業の責任ある対処をせまっていきたい。私たちの職場を働きがいのあるものにしていくために、今日一日がんばっていこう」と訴えました。
 多摩稲城支部の島袋功さん(塗装)が現場からの報告をおこない、ぱっとサイデリアの新興産業倒産にともなう賃確法適用のたたかいを通じて「私たちの権利を組合が守っていることを知らなかった。私たち自身がたたかいとる重要性を学びました」と発言しました。続いて宮本英典関東地協賃対事務局の要求説明をきき、交渉団ごとに打合わせをして各交渉先に向かいました。
後継者育てないゼネコン会社

大成

アスベストの完全禁止
「使用禁止の検討する」
大成建設に要求する代表団
【共同デスク・菊池記者】
 「アスベスト対策は企業の社会的責任。一刻の猶予(ゆうよ)もならない」。大成建設との交渉には、鈴木稔団長(埼玉土建)ら40人が参加。小谷安全・環境部長ら6人が対応しました。
 大成は「法律の遵守は企業として当然のこと。専門窓口を設けて対応にあたっている」と話しますが、危険作業指示に対する「作業拒否権」の保証や、除去処理に対する経費の確保については「万一の場合は申し出てほしい」「協議して決めたい」との回答にとどまりました。
 仲間たちは「アスベストの即時完全禁止が私たちの要求。受け身ではなく積極的な対応を」「法律や通達が出ても現場にお金がなければ対応したくてもできない。下請に押しつけるのではなく、全国的な模範になる対応を率先してやってほしい」と詰め寄ります。
 「住宅分野ではアスベストを一切使っていないが、ビルについてはそこまでは決めていない。法律に沿って対応する」と煮え切らない回答に終始する大成に対して「法律があいまいなのだから『完全不使用宣言』などのイニシアティブを発揮すれば、影響力は大きいはずだ」と仲間たちがたたみかけます。結局「それはその通りだと思う」「設計部門などにも申し入れてみる」と検討を約束しました。
 また、賃金・単価引き上げの要求では「競争がきびしい中で、単価へのしわ寄せがあることは承知しているが、受け止めざるを得ない」と回答。今年は一次から三次まで、10現場・570人の調査結果を発表しました。
 仲間からは不払い事例などでの対応や調査人数の増加などの努力は評価しつつ、調査対象者の平均年齢や経験年数などのデータも要請。検討事項となりました。
 建設現場への労働者派遣の問題では現場名をあげて「偽装請負」が横行している現状を指摘。元請としての対応強化を求めました。

竹中

型枠1万1千円〜2万円
依然として低い賃金
【共同デスク・森川記者】
 神奈川県連の山本会長を団長に48人が参加した竹中工務店交渉では、町田実男本店長席部長ほか7人が対応。山本団長は「アスベストは、労働者が実態を知らされないまま現場に入っていく。この深刻な問題にきちっと答えていただきたい」と要望しました。
 町田部長は「アスベスト問題には会社としてもさらに対策を強化していく。被害者は職をはなれた者でも会社の責任で対応する」と断言。しかし、一次業者の追跡調査では「問題なし」と答え、アリバイ的発言でした。雇用証明については「個別に出すことができない。記録のない業者の場合は監督署と相談して対応する」にとどまりました。
 賃金の調査では337人のサンプルで、型枠大工が1万1000円から2万円。職長手当は1000円から2000円で依然として低い賃金実態にあります。「ゼネコンの数は同じで、公共工事が削減される中での受注活動であり、品質、安全、価格で協力業者に納得してもらい仕事をしている」と答えにならない回答。
 代表から「景気回復しないからではすまない。生活がかかっている」と追及。これに対し「大阪や中部、東北も忙しくなる。90%が人手不足で工場生産も進めなければいけない。発注単価も抑えてくることが予想される」と責任転嫁とも受けとれる発言。
 現場内の駐車料金問題では、たとえ職長会で決めたとしても目的や会計処理などで問題が多い。企業モラルに抵触するのではないか。また建設産廃処分費の下請負担の不当性についても追及しました。
 最後に、代表から「アスベスト問題では、若い建設労働者がどんな思いで仕事をしているかを考えるとゼネコンの役割は大きい。早期に解決をしてほしい」と要望して交渉を終わりました。

大林

「偽装倒産、サギ業者増える」
工事代金の立替払要求に
大林は市瀬副委員長が団長
【共同デスク・小野寺記者】
 大林組との交渉は、市瀬団長(東京都連)はじめ42人、会社側から大原工事企画部事務グループ長ほか7人で行ないました。
 冒頭、市瀬団長より今回交渉のメインとなるアスベスト問題に対する私たちのとりくみを紹介し、大林に労働者・近隣住民の安全確保について、真摯な対応を求めると申し入れました。
 大林組の回答は、「コスト競争はきびしさを加えており、建設単価はひきつづき低迷している。真の勝ち組として生き残るために大林の協力業者にはコスト削減と生産性の向上、高品質確保などで協力を強く要請する」というものでした。
 非常に身勝手な言い分です。私たちの要求するアスベスト対策にしても、労働者の安全は雇い主の責任、生活できる賃金の保障はすべて雇用主と労働者・職人の間で決めることとして、元請としての指導責任をはたそうとしないばかりか、契約前着工についても「契約前着工はしていない」といいながら「同意書」を取り交わしてやっていることも明らかになりました。
 不払い問題では、工事代金や資材納入代金についても立替払いを要求していますが、これを行なえば偽装倒産や詐欺業者がはびこるなどといい、対応はきわめて不穏当なものです。
 今回の前進面として評価できるのは、賃金実態の調査で90現場、655人、一部ではあるが3次〜4次の労働者までサンプル調査を実施したことです。

清水建設

若い人が入職しなくなると認識
【共同デスク・堀井記者】
 「かつてアスベストを大量に使用してきた社会的責任をどう考えるのか」との組合側の追及に、清水は「全建総連が早くからアスベストについて警鐘を鳴らしていたこともあり、遅ればせながら対応をとることができた。全建総連には感謝しなければならない」とのべながらも、あくまで行政の指針や定められた仕様に従って使用してきたと逃げ、責任を認めませんでした。
 今後、清水建設が施工した現場で被害者が出てくると思っているかとの問いに対し会社側は「中皮腫・肺ガンなどがこれから出てくるであろう」と認めましたが、被害状況の調査要求に対しては「判断する材料がない」と消極的な姿勢を示しました。
 「月額50万円以上の賃金確保」の要求に対しては、「50万円は目標として理解している」「下請が払うべきことに関して元請が言うことはできない」と無責任な態度をとりました。「若い人が建設業に入職してこなくなる」「このままでいいのか」との追及に、「建設業に人が入ってこないことは認識している。小手先の対応ではいけないと考えている」とのべました。

鹿島

民間工事の建退共証紙
「半額負担で貼付する」
劣悪な鹿島の現場実態を追求
【共同デスク・水垣記者】
 「お返事はできません。検討はまぁしますけど、大きく変るとは思えませんね」。アスベスト被害者の労災認定のために、作業証明書の発行を求めた交渉団に返ってきた鹿島建設の返事で、交渉の流れが変りました。
 アスベストの“責任”ある対策への回答は「国の使用禁止が遅れたから」「指導はする…」「何の調査をすればいいのかつかめない」など、トップゼネコンとしてとるべき責任をあいまいにし、好調に利益を上げながら「建設不況から脱出できない」と低単価を黙認。
 佐藤良治団長(千葉土建)以下45人の交渉団から、次々と現場の実態が告発されました。神奈川の仲間が鹿島の現場ニュースを入手して「『極端な工期の遅れ、8件の労災事故、せめて死亡事故を無くそう』って、この現場はひどすぎる!」。また、休憩所がなく、粉塵舞う中で食事をさせられた。ユニックが倒れた時に運転手が2時間放置された。帳簿にも残らない不明瞭な駐車代の徴収。現場パトロールの2〜3日前は現場清掃に追われ仕事にならない。雨が降る中コンクリを打たされた。機材の搬入時に保証金50万円とられ、工事が終っても返却されず領収書もない等々、枚挙にいとまがありません。
 建退共の加入促進について、民間工事では「要求があれば半額負担で貼る」との鹿島に「予算はいくらでもない。促進のためにも、後継者のためにも官民問わず貼ってほしい」と求めましたが「決まりはあくまでも折半」と譲りません。それどころか「あんな機能しない制度を、全建総連さんも関与してつくったんですか?」と言い放ち「そこまで言うなら、鹿島がそれ以上のものをつくれるのですか?業界の未来のためにも鹿島のようなビッグゼネコンが制度を発展させるべきじゃあないですか!」交渉団も怒気を強めました。
長時間過密労働の住宅企業

積水

石綿処理費が1.5倍に
「健診記録は心もとない」
積水に申入れる代表
【共同デスク・岡田記者】
 「石綿に対する認識が甘すぎる。積水ともあろう企業の発言とは思えない」と声を震わせる仲間。石綿障害予防規則の遵守について「厚労省の言うとおりやると、えらい費用と手間ひまがかかる。必ずしも規則どおりにやらなくてもよい。ようは石綿が飛散しなければよい。マスクをつけなくても作業ができないか研究したい」と積水が回答したことに対しての怒りの追及です。
 処理費用の元請責任については「来月、関西の解体物件で作業方法や時間、かかる費用など実際やってみて研究するが、費用は通常の1・5倍はかかるだろう。見積りでもらわなければならない」と回答。
 また、今後の石綿対策はもちろん、過去、積水で働いた経験者が石綿肺を発病した場合の対応や健康診断の結果をつかんでいるのかと質問したところ「健康診断の記録については、心もとない」と正直に認めました。
 次に「手間請の労働者性」で、積水は「労働者性が高い一人親方は労働者とみなし、元請の労災保険を適用する」「一人親方労災保険は強制しない」と理解のある回答をした一方で「一人親方は請負契約をしている」と回答。「一人親方労災保険に加入しないと現場に入れないというケースが増えている」と現場からの告発もあり、実態との矛盾が明らかになりました。
 交渉団は「手間請は請負契約ではなく、雇用契約にしてほしい」と要求し、今後の課題となりました。

大和

立替払い3回目の交渉
「ここでは話できない」
【共同デスク・熊谷記者】
 「大和の態度には、憤りを通り越して呆れてしまう」とは神奈川の仲間の言葉。昨年10月、今年4月、そして今回。大和ハウス横浜支店が元請の工事で、仲間が900万円の工事代金不払いにあった案件は、解決の糸口がつかめないまま丸1年が経過。これで3回目の交渉となります。
 「十数回交渉を行ない、国土交通省関東整備局への要請もした。しかし、横浜支店は、(1)仕事をあっせんする。(2)仕事を頼む際、100万円の前渡金を払う、の2点を主張するだけでそれ以上譲歩できないという。しかも労賃を聞くと、一日1万4000円。とても救済に足りる労務単価ではない。そんな条件で900万円の不払いをどうやって解決できるのか。これで本当に救済することになるのか」と追及。しかし大和側は、半年前とまったく同じ「個別の案件なのでここでは話ができない」「引き続き話し合いはさせていただく」という解決する意志のまったく感じられないものです。
 「大和のモットーは、第1はお客さま、第2は協力会社というが、支店の人は『協力会に入っているのが協力会社で、そのほかは下請』と言っている。それが本音ではないのか」「仲間は労務費を払うための借金を返すために、さらに借金を重ねている。日がたてばたつほど消耗する。会社が倒産すれば社員も失業してしまう。何とかしてくれ」と意見や要望をぶつけますが、はかばかしい答えは返ってきません。仲間から「もっと上の立場の人を出してもらいたい」と訴えても「われわれは委任されている」と答えるのみで、大和側のかたくなな態度が目立ちました。

パナホーム

月40万〜70万(経費込み)
「施工証明だす」
パナホームとの交渉
【共同デスク・煙山記者】
 「アスベスト被害に対する認識が甘い」。パナホームとの交渉には、藤間富之団長(神奈川県連)ら43人が参加。藤村孝夫建築管理グループチーフマネージャーら5人が対応しました。
 アスベスト被害実態調査に関して「施工店との聞き取り調査で今のところ被害の報告は受けていない」とのパナホーム側の回答に、調査の中身やヒアリングという調査方法も含めて交渉団から批判の声があがります。
 調査方法については石綿障害予防規則をふまえた今後の課題とし、労災認定で必要になる「現場施工証明書」の交付については「確認さえできれば交付する」との回答を引き出しました。
 手間請労働者や一人親方の労働者性について「労働者性が高いと理解している」としながらも、元請労災の適用に関しては前回同様「あくまで監督署の判断に従う」とし、請負関係にある場合は一人親方労災の加入を「推進」していると回答。労働者保護より「経費削減」を優先する立場を崩しませんでした。
 賃金調査については、月額40万円〜70万円が全体の70%を占めると回答がありましたが、これも前回同様諸経費を含めた金額であるため、引き続き月額50万円の「賃金」を要求しました。これに対して、パナホーム側は要求に応えるための仕事確保が「最大の課題」との認識を示しました。

「五重塔」成功させよう
「職人の世界」あれこれ
木下委員長 前進座で語る
役者さんを前に熱く語る木下委員長
【本部・松広高幸記】
 東京土建本部の木下勝三郎委員長が、10月17日前進座大稽古場で『五重塔』出演の俳優とスタッフ全員(約40人)を前に、「職人の世界」というテーマで講演しました。
 この講演は、先に行なわれた木下委員長と嵐圭史さん、藤川矢之輔さんとの「てい談」(けんせつ1797号掲載)で木下委員長の話に感激し、「『五重塔』の芝居づくりに関わっているみんなに聞かせたい」という前進座の要請にこたえたものです。
 話は、木下委員長自身のおいたちから始まり、きびしい修行時代の生活や現場での苦労話をまじえ委員長独特のしゃべりに時折笑いが上がり、終始なごやかな雰囲気で進みました。俳優のみなさんは役づくりに役立てようと、台本を横にメモをとりながら話を聞いていました。
 川越の源太棟梁役の藤川矢之輔さんは「職人みんなが宴席の場面で、立て膝食事をしてもいいんでしょうか」の質問に木下委員長は「昔の大工の世界は、立て膝ご免という風習がある。神棚を作るときも力が必要で、立て膝の作業になりそのような無礼は許されていました。だから大丈夫です」と答え、「東京土建と前進座で力を合わせて成功させよう」と締めくくりました。

永さんのトークショー
西多摩の淺倉さん
山口さん鉋がけ実演
【西多摩・書記・大野史記】
 タレント・永六輔さんのトークショー『芝居を創る』が10月23日、吉祥寺の前進座劇場で行なわれ、西多摩支部の淺倉賃金対策部長と山口仕事対策部長が出演しました。
 このトークショーは、東京土建が今秋、その観劇運動にとりくむ前進座公演『五重塔』をテーマにしたもの。『五重塔』は建築職人の世界を描いた作品のため、永さんより「自分が一人で語るコーナーの最中、ステージ上で大工さんに鉋がけを実演してほしい」との希望がだされ、大工である淺倉さんと山口さんに声がかかりました。
 当日は朝から劇場入りして削り台の準備や打ち合わせを行ない、2回の公演に備えました。そして正午を迎え、いよいよ1回目の開演。永さんが一人語りをする後ろで、お二人は照りつけるライトで汗だくになりながら30分間にわたり鉋をかけ続けました。
 途中で休憩をとっていると、絶妙なタイミングで後ろを振り返った永さんから「お茶飲んでる場合じゃないだろう!大工さんってのは見るたびに休んでる」とツッコミが入り、会場の爆笑をさそう一幕も。
 午後3時からの2回目の公演でも同様に鉋がけし、通算1時間にわたって削りだされた大量の鉋くずは、それぞれの公演でお土産として観客全員に配られました。会場には削りたての木のよい香りがただよい、大変喜ばれました。(写真右は山口さん、左は淺倉さん)


真実を見極める目を
マスコミ左右する大企業
【練馬・主婦・住友かつ子記】
 10月7日練馬支部会館で、城北ブロック主婦の会の学習会を行ないました。講師は、ジャーナリストのきくちゆみさん。「戦争中毒」という本を翻訳、出版したことで知られています。
 環境問題や自然な生き方をライフワークにしていた方ですが、9・11事件をきっかけに反戦運動に力を注がれるようになったそうです。正義の名のもとに、アメリカ国民は兵士として戦争にかりだされています。なぜなのでしょう。
 アメリカのテレビ局は国内で最も大きな企業によって所有されています。これらの巨大企業の役員たちは兵器会社の役員か、世界中で商売をくり広げている企業の役員です。だからニュースの大半は、特に戦争や平和については大企業の利益になるよう編集されてしまうのです。
 しかし、着実に反戦運動は広がりつつあるそうです。戦争で儲けるのは誰? そのお金を払っているのは? そして死んでいくのは…?
 私たちはもっと真実を見極める目をもたなくてはね。

学習した技を表現
第8回「東京建築カレッジ祭」開く

創ることが好き
流す汗は輝くダイヤ
【佐竹理志・カレッジ祭実行委員長・9期生】
 「1人は皆のために、皆は1人のために」。最近カレッジではやっている言葉。皆が同じ気持で何かに集中する、それが東京建築カレッジのカレッジ祭です。「ザギーン」というかけ声で始まるわけですが、その意味は切り開いていくと言うより、切り裂いて進んでいかなきゃならないという時代の背景もあり、私が好んで使っている合言葉みたいなものからカレッジ祭はスタートしました。
バンド演奏で祭りを盛り上げるカレッジ生たち
 思えば、去年の2月から計画してきた非常に思い入れの深いイベントです。特に子供工作教室は、今年も全力を注いだ企画で、それに関係した生徒は、何ヵ月も苦労し、悩んできたことだと思います。たった1日の数時間のためそこまでできることは、本当に物を創ることが好きじゃないと無理だと感じていました。
 そのほかに、餅つき、ミニ上棟など建築カレッジにしかできないことがたくさんあります。また、私たちもそーゆーことが大好きで、だからこそ一つになれるのかって思います。まったく同じ材料がないと一緒で、研修生も1人ひとり個性がありますが、同じ気持だからこそ一生懸命になれるかも知れません。
 現代では家ですごす子供たちも少なくありません。高気密高機能住宅で生活する人も多い中で、東京建築カレッジの存在する意味は非常に大きな意味があります。
 先人の努力があり、組合員の皆さんあってのカレッジですが、伝統や技術や知識等、私たちなりに努力し、失われつつあるものを大切に学んでいる場所だと少しでも理解していただければと、そんな気持でカレッジ祭に取り組みました。
 子供工作教室でたとえ時間がかかっても、何かを作った想い出があったり、一緒に餅をつき、目の前でミニ上棟を見たり、どれも大切に思えてしまうことばかりです。だからこそ研修生1人ひとりの流す汗は輝くダイヤモンドであってほしいものです。