人を雇う場合、雇われる場合のルール

入職時のチェックポイント
  1. 雇入れ通知書の交付と労働条件の確認を
    常用・手間請け等で働く職人のみなさんは、現場に入る前に必ず元請や事業主から「雇入れ通知書」をもらっておきましょう。
    労働基準法第15条では労働契約を結ぶに際し、使用者は賃金・労働時間・その他の労働条件を明示することとされ、この場合、賃金に関する事項については、法令で定める方法により書面で労働者に渡すべきことになっています。また建設雇用改善法第7条でも、建設労働者を雇い入れた時は、速やかに雇用に関する文書を交付すべきことが定められています。
    雇い入れ通知書(例)
  2. 労働契約で会社側がつけてはいけない項目
    労働者を雇い入れる時に、違約金、損害賠償額を予定する契約(賠償予定の禁止)を結んではなりませんし、前借金その他労働を条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない(前借金の相殺禁止)とされています。
賃金条件の法律
  1. 賃金支払5原則(労働基準法第24条)
    給料(賃金)は働くものにとって唯 一の生活の糧です。あなたの賃金 は労働契約どおりに支給されていますか。賃金支払の原則は、労働基準法により(1)通貨で、 (2) 直接労働者に、 (3) 全額を、 (4) 毎月 1 回以上、(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定されています。
  2. 減給の定めの制限(労働基準法第92条)
    就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合に おいては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えることはできません。また、1賃金支払期に数回の違反行為があっても、その減給の総額は、1賃金支払期に支払われる賃金の10分の1以内でなければなりません。
契約内容を確認しましょう
  1. 労働契約とは
    民法上の契約形態(労働契約・請負契約・業務委託契約)に関係なく、事業に使用され、賃金の支払いを受けているとみなされる者は、労働基準法による保護の対象となる労働者とされ、この労働者と結んだ契約は労働契約になるわけです。そのため、個人と請負や業務委託と称する契約を結んだとしても、会社がその者を指揮命令して労務に服させているなど使用従属労働を行わせている場合には、労働契約とみなされることになります。
  2. 労働者性について
    賃金台帳、出勤簿、そして雇用契約書もなく、形式上「雇用契約」ではなく「請負契約」で働いている請負的就労者(請負職人、手間請、一人親方等)が建設産業に多数存在し、同じ汗水流して働く労働者であるにもかかわらず、労働基準法上の労働者として認められず、元請労災や賃金支払確保法の適用をうけられないなど労働法の保護の外に置かれていました。
    形式上「請負契約」で働いている請負的就労者(請負職人、手間請、一人親方、労務下請等)の「工事代金」を賃金として認めるだけでなく、請負的就労者そのものを労働基準法第9条が規定する労働者として認め、労災保険、賃金支払確保法等、労働法上の全ての保護を適用していくことが、求められています。
  3. 労働者性の判断基準
  4. 違法派遣・偽装請負の禁止
    労働者と「請負契約」「委託契約」を結び、直接雇用責任・負担を回避する悪質な企業が増えてきています。また、労働者派遣法により建設業務は、労働者派遣ができませんが、業務請負という契約形態で労働者を就労させる行為も目立ちます。組合は、こうした法律の隙間をかいくぐった悪質な業者を許さず、「偽装請負」を行政の関係機関に告発していきます。

※「おかしいな?」と思ったら、東京土建の各支部に問い合わせてください。